「FUERUCO」ローンチ記念対談:変わらない本質と変化する流行を融合する新事業へ【後編】

この度、株式会社トレジャーフットとソーシャルM&AファームGOZEN(ゴゼン)は共同で地場産業の成長支援に特化したM&A事業 FUERUCO(フエルコ)を開始いたしました。
今回はFUERUCOのローンチを記念して、両社の代表による対談記事の後編をお送りします。

前編では不易流行のM&A事業であるFUERUCOについてや、なぜ私たちがこの事業を行うのか、という話をしました。後編では、トレジャーフットとGOZENの代表が、互いの視点から見た会社や、これから進めたい事業の展望について語ります。

参加者紹介

田中祐樹(たなか ゆうき)
株式会社トレジャーフット 代表取締役社長
新卒で株式会社セプテーニ入社後、マーケティングの力をローカルで活かすために沖縄県へ移住。地域密着メディアを運営する株式会社パムローカルメディア代表取締役社長に就任し、地域課題の解決に奔走。その後、株式会社ベネフィット・ワンにてサービス開発部部長代理 兼 新規事業開発の責任者を経て、2018年3月に株式会社トレジャーフット設立。

 


布田尚大(ふだ なおひろ)
ソーシャルM&A®️ファームGOZEN代表
スモールビジネス、ソーシャルビジネスの経営とM&Aが専門。ソーシャルM&AファームGOZEN代表。2022年、3年間経営したボディポジティブなランジェリーブランドfeastの事業グロースとバイアウトを実現。現在株式会社feastにて取締役社長としてPMIに従事。直近ではForbes カルチャープレナー受賞企業のM&Aを支援。
▶詳細はこちら
https://forbesjapan.com/articles/detail/74587
https://www.fashionsnap.com/article/2024-10-29/relier81/
concon株式会社CSO/株式会社水中メンター/2018.2019年渋谷ファッション&アート専門学校 非常勤講師/日本マーケティング学会会員。一橋大学 社会学部/同大学院 社会学研究科修士課程修了。WSD28期ワークショップデザイナー。1983年東京生まれ。

互いの視点から会社を見て思うこと

布田:GOZENを立ち上げるまでの経験や自分の経営を振り返ってみて、何か1つの課題を解決すれば全てが良くなる、ってことはほとんどないと思いました。結局、事業も必要だし、人も必要です。加えて、M&Aのようにファイナンスも必要なこともあるでしょう。複合的な要素が絡み合っているんですよね。
それを進めるのは、面倒くさいこともあるし「それで上場規模の会社になりますか?」と言われたら、そうじゃないかもしれない。それでも本質に基づいてやるべきだからやる、というのがすごく共感できるところです。だからこそ、田中さんが大切にしている「資本主義より本質主義」という言葉には非常に共感します。

もし「儲け」を最優先にするなら、大きなビルを持っていたり、東京のスタートアップばかりを手掛ける方が利益が出やすいかもしれません。それよりも、本質的に社会にとって良い事業が増えたとか、その事業が大きく成長したという方が、自分がやりたいことだし、自分のバイブスにも合ってるんです。そういう深い部分でお互いに共感できるのは、すごくいいなと思いました。

田中:なるほど、布田さんからはトレジャーフットってそんな風に見えてるんですね。

布田:そうなんです!良かったら田中さんから見えるGOZENについても聞かせてもらえませんか?

田中:もちろんです!GOZENさんについては、M&A業界の中でも少し異なる切り口を持っている会社だなと感じていました。特に地域密着型のアプローチがイメージしやすく、「確かにそうだな」と思ったんです。さらに、ホームページや記事を拝見していると、お金や資本に対する考え方がしっかり伝わってきて、そこが良かったなと思いました。
僕たちもまだまだ迷うことが多いですし、利益を上げなきゃいけないというプレッシャーもありますが、GOZENさんの考え方や価値観を見ていると、こうあるべきだなと思える部分がたくさんあります。それが、今こうして一緒にやっている理由なんだろうなとも感じています。

妄想仕事図鑑 ~FUERUCO編~

布田:ここまでFUERUCO立ち上げのきっかけや、トレジャーフット・GOZENがそれぞれどんな会社なのかをお伝えしてきました。
続いては、これから始まっていく事業についてのお話です。
M&A事業は、売る人・買う人に加えて、地域のプレーヤーさんとも関わる機会が多い事業となります。田中さんはその中で、この事業をどんな人と進めていきたいですか?

田中:ありがとうございます。僕のイメージとしては、M&Aや事業承継というのは、一つのゴール、もしくは途中のゴールではあると思っています。
でも、まずは僕たちの取り組みに興味を持ってくれる人たちに集まってもらえたら嬉しいですね。会社を売却したい、事業を誰かに引き継ぎたいと考えている人、経営課題を抱えている人、あるいは地域産業のM&Aを検討している人たちです。
ただ、もし単に効率的なM&Aを考えているのであれば、大手企業に任せた方がいいかもしれません。僕たちが大切にしているのは、経営者の想いも引き継いでいくこと。資本主義的に考えると少し非合理的かもしれませんが、そういう話も腹を割ってできる人たちが増えてくれたら嬉しいですね。もちろん資本主義も大切ですが、その中で、どうやって地域の資源を活かし、良くしていくかという視点を持った人たちが集まってくれるといいなと思っています。

布田:僕も、この取り組み自体が本当に面白いと思っていますし、自信を持って「社会的にも意味があって、かつ最先端だ」と思っています。だからこそ、そういったことに興味を持っている人たちと一緒にいたいですね。

例えば、今四国の方ではローカルなイグジットモデルを作りたいという動きがあったり、僕が関わっている長野県の塩尻では、「地域型のインパクト投資って何だろう?」と模索する取り組みが進んでいたりするんですよ。
色んな場所で同じような方向性を持った人たちが増えてきていて、これから一緒に盛り上げていこうという段階だと思います。単に売上や利益だけの関係ではなく、この思想や運動を一緒に盛り上げていける人と話をしたいですね。

GOZENが今まで手掛けてきたディールも、フードロスの問題を解消するソーシャルベンチャーと、500年以上の歴史を持つ大企業とのM&A女性がより生きやすい社会を目指すフェムテック企業同士のM&Aなど、テーマ性のあるものが多いんです。だから、単に「会社を売ってお金を儲けて終わり」みたいなものよりも、何かしらのテーマや意義があるM&Aを一緒にできるといいなと思っています。

田中:おっしゃる通りですね!
こういう旗を掲げている人たちって、結構増えてきている気がします。僕たちもそうですが、似たような考え方で活動している人たちを見かける機会が増えてきました。
コロナ禍以前は、日本経済が比較的好調で、IPOが盛んに行われていたり、失敗しても許されたりするような環境がありました。でも最近はそういう流れも変わりつつあって、今は日本経済の新しい局面に入っているように感じます。先日同じような話を布田さんとしていましたが、「ポスト資本主義」的な発想が必要だなと認識しています。

ただ、こうした発想も、日本の中では実はすごく基本的で、トラディショナルな考え方だとも思うんですよね。地域で産業を営んでいる人たちって、もともとIPOや売却を目指していたわけではないじゃないですか。金型を作ったり、大工をしたり、食べ物を生産したり。振り返ってみると、そういう地元の仕事が、実はずっと日本経済の基盤を支えてきたわけです。

そして今なら、M&Aやソーシャルな観点から「美しい形でのイグジット」や「後継者へのバトンタッチ」という話が、現場にも入っていけるようになる可能性があるんじゃないかと思っています。

布田:GOZENが関わったディールの一例ですが、年商450億円ほどの大企業に、創業から3年くらい、M&Aのタイミングでは事業を始めて1年半ほどのベンチャー企業が買収されたことがありました。そのベンチャーの代表は、今その大企業の子会社の役員として活躍しています。

こういう形で、大企業が若い企業を買うことで、買い手側にも新しい血が入って新陳代謝が起こります。一方で、売り手側の若い人も、20代半ばくらいでいきなり大企業の役員として活躍できる。これって、まさに「三方良し」どころか、それ以上に良い循環が生まれるんじゃないでしょうか。

布田:今の時代って、やっぱり「ロマンと算盤」の両方が必要で、「これが大事だよね」っていう流れになってきていると感じています。振り返ってみると、2010年代はいろんなキーワードが生まれましたよね。地方創生や、デザインの力で地域を再生するリブランディングもトレンドになりました。それに、「丁寧な暮らし」や「意味を売る」「ストーリーを売る」といった考え方も広がりました。

もちろん、こうした動きがたくさんの成功例を生んだのも事実です。ただ、一方で、地域の経済や地場産業を根本から支えるところまでは届かなかったのかな、と感じています。否定するわけじゃないですが、それに何を付け加えていくかが大事だと思うんです。その「プラスα」として、やっぱりファイナンスや経済、資本の力が必要なんじゃないかなと思っています。そういう意味で、FUERUCOがこうした部分を提供できれば、地場産業の新しい営み方が生まれるんじゃないかと感じています。それをぜひ実現したいですね。

今は「跡継ぎベンチャー」みたいなムーブメントも起こっていて、ずっと蓄えてきた技術や資産、人材といったリソースをどう生かすかが問われています。そのスタートとしてM&Aはすごくフィットすると思います。
そんな新しい事業の形を一緒に模索していける仲間を大募集したいですね(笑)。

田中:そうですね。大募集します!

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