今回はトレジャーフットでプロ人材として活躍していただいている滝田一馬さんにインタビューを行いました。滝田さんのこれまでのキャリアから、得意領域、今実施しているプロジェクトや今後について、深くお伺いしました。
1989年 東京都葛飾区生まれ。東京農業大学を卒業後、新卒で大手ネットワークインテグレーターに入社後、フリーランスへ転身し学生時代より交流のあった千葉県房総半島へ移住。空き家再生や移住者支援を生業としながら、地方自治体と共同で立ち上げた地域活性NPOの運営に従事する。その後、IT企業出身の知見を活かし、地方中小企業のDX/業務改善のコンサルタントとして企業支援を行う。近年では「SAGA Smart Terakoya」のスペシャルアドバイザー、伊豆長岡の温泉エリアのDX化など、自治体連携にも活動の幅を広げている。2024年10月より、株式会社Soooy(https://soooy.co.jp/)を設立。法人化し、チームメンバーとともに事業を推進している。
─── 滝田さんとトレジャーフットは長くご一緒していますね、最初のきっかけは何でしたか?
一番最初に、接点を持ったのは、はじまり商店街です。現在トレジャーフットさんでも働かれている柴田さんや、同じく会社を経営されていた熊谷さんがFacebookで「知り合いの会社がこんな面白いことをやっている」とシェアされていたのを見たのがきっかけです。
そこで、トレジャーフットと、はじまり商店街とのコラボイベントに参加しました。もともとはじまり商店街とは繋がりがありましたし、そのイベントでは田中さんと辻さんが登壇者だったので、ご紹介していただきました。そこからご一緒させていただくようになりました。
その過程を通じて、提供していた「はたふり」というサービスを知りました。当時の私はフリーランス5年目か6年目くらいで、ちょうど自分のスキルの棚卸しや支援の価格設定の見直しなどをしたいと思っていたタイミングでした。結局、はたふり1期生としてプログラムを受講し、ご縁につながったきっかけです。
地域を盛り上げるためにエンジニアになる
─── 改めて滝田さんのご経歴について教えてください
はい、私は東京農業大学を卒業後、大手IT企業で2年間勤務し、その後2015年より9年間ほど、フリーランスで活動をしてきました。
農業大学出身ということもあり地方創生、地域活性に興味があり、大学時代から縁があった千葉県の房総半島へ単身移住しました。5年ほど地域活性系のNPOの運営や空き家を再生してシェアハウスを開くような活動を行いました。
その活動の中で、サイボウズ社が開発・販売したkintoneというツールに出会いました。当時、サイボウズ社は、NPOとともに特定の地域へkintoneを導入し、業務効率を図る活動をしていました。たまたま自分もいた千葉県の富津市でもkintoneの導入を実施することとなり、ともに活動をしていました。その活動を通してkintone自体への興味や楽しさを感じ、現在の仕事にもつながりました。
kintoneは、サイボウズ社が提供する業務改善プラットフォームです。プログラミング不要で、データベースや業務アプリを簡単に作成・共有でき、チームの業務を効率化できます。社内の情報共有や進捗管理、顧客対応などに幅広く活用されています。
───ITを好きになったきっかけは何でしょうか?
そうですね、「今までと違うやり方で課題にアプローチする」ということが好きだったんだと思います。大学時代からITに興味を持ったのも、地域活性や環境問題といった課題の解決に、より広い視点で向き合いたいという思いがあったからです。
地域活性と言えば、たとえば、地域おこし協力隊として現地に入ってゲストハウスを開いたり、一次産業を盛り上げたりといった直接的な活動もあると思います。しかし、私は「これからはITの力を使って、今までできなかったアプローチで課題を解決するほうが面白いのでは」と感じていました。
そこで、「地域を盛り上げるために農家になるのではなく、エンジニアになろう」と大学時代に決意し、のめり込んでいきました。実際、ITは触れば触るほど楽しいですし、その思いはいまも変わりません。ITは課題解決の幅がとても広く、アプローチ方法も多様なので、自分にとっては一生関わり続けたい分野です。何ができるかわからないけど、ITを使って何かしたいと漠然とした思いでこの業界に踏み込みました。
結果として、今はトレジャーフットのご縁で伊豆長岡の観光エリアのデータベース化やDX化に関われています。まさに「ITを使って地域活性化をしたい」という大学時代からの思いにどんどん近づいていると感じています。
丁寧に丁寧に、人と向き合っていく
─── Soooy社では、kintone支援を専業としているんですよね?
はい、Soooyでは、kintoneを使った業務効率化支援を専業で行っています。
たとえば、顧客管理やプロジェクトの納品管理などを非効率に進めてしまっている会社は、まだまだ多くあります。そういった非効率な業務を、kintoneの導入によって効率化し、人が本当にやるべき業務に集中できる環境を整えることが私たちの支援の軸です。
Soooyがkintone専業にしている理由は、いくつかあります。
まず、kintoneは導入企業も多く、ネームバリューがある一方で、基本機能のアップデートも頻繁です。そういった変化に柔軟に対応し、常に正確な提案や回答ができるようにするためには、やはり専業である必要があると思います。
実は、システム専業になってからは約5年ほどですが、特別なスクールに通ったわけではなく、ひたすら実務で経験を積んできたというのが自分のスタイルです。ただし、kintoneやその他のツールはあくまで「手段」にすぎません。本質的には、「お客様の課題を正しくヒアリングし、それを具体的な設計や仕様に落とし込む力」こそが、システム受託会社に求められる力だと考えています。
─── 地域の会社への支援の中で意識していることはありますか?
そうですね、特別なことはあまりないかもしれません… 基本的なところである「お客さんと丁寧に丁寧に内容をすり合わせていく」ということを重要視しています。
非常にシンプルですが、なるべく顔を合わせることを大事にしていて、最低でもオンラインで顔を合わせて会話するようにしています。もちろん、テキストだけで意思疎通が十分できる方であればそれだけで進めることもありますが、基本的にはしっかりとコミュニケーションを取りながら、ゆっくり質問に答えて進めることを意識しています。
工数や効率も大事ではありますが、それよりも「丁寧に丁寧に会話を重ねること」が自分の中では最優先だと思っています。そこに対する根気強さは、やはり地域で暮らしていた経験から身についたのかなと思います。
Soooyに対する秘めた想い
─── 滝田さんはフリーランスから法人化し、株式会社Soooyを立ち上げました。現状について教えてください。
まず、Soooyでは、トレジャーフットさんが運営している佐賀県のTerakoya事業でつながりを持ったメンバーが手伝ってくれています。「良い人」しかいないですし、みんな「Soooyがすごく好き!」と思ってくれているので、それを周りに広めてどんどん話を聞きに来たり入ってくれたりと、「いい人の循環」が起きている状況だと感じています。
一方で、会社のフェーズとしては、体制強化のフェーズです。私自身、会社の代表として経営や顧客集めに動くべきですが、今も半分お客様対応もやっています。メンバーが事業を回してくれているのでこの調子で体制を強化していかないとと考えています。
お客さんへの支援としては、企業だけでなく、行政やNPOなども含めて、幅広くお手伝いしています。法人枠や組織形態は特に関係なく、必要とされるところには対応しています。
その中で、今後世の中のツールや仕組みなどはどんどん変化していくと思います。生成AIなどの技術も含めて、メンバー全員で日々勉強しながら「今、自分たちが最も良いと思うツール」「市場からのニーズが高い技術」を常に模索しています。市場からニーズのあるツールを常に模索しつつ、目の前にあるお客さんのニーズはしっかり満たしていく。お客さんに対し、新しい価値を提供できるようチャレンジを続けたいと考えています。
───滝田さんが想う”Soooyのあり方”とはなんでしょうか?
「あり方」という視点では、僕個人の思いとしては「クライアントのためだけの会社」ではなく、「会社に関わってくれているスタッフのための会社」でありたいと思っています。
Soooyがあることで、
「30代・40代の異業界からIT業界にチャレンジする」
「思い切ってスキルチェンジをする」
「地方や海外で仕事がする」
「親の介護と両立しながら働く」
など、さまざまな生き方・働き方を選べるような「訓練の場=プラットフォーム」を提供したいと考えています。まさにTerakoyaのように、基礎学習を終えた卒業生たちに対して、実際のクライアント案件を一緒に経験してもらい、座学から実践へのステップアップの場を用意しています。
もちろん、そうした訓練の場としての価値を保つためには、高いスキルと成果をクライアントに提供することが不可欠です。そのことによって会社としての信頼や継続性も担保されます。
ですから、クライアントには決して迷惑をかけないという前提のもとで、熱い気持ちを持ったメンバーたちが集まり、高い品質のアウトプットを出すことを目指しています。結果的に、クライアントへの貢献を第一に、かつ「スタッフの成長や挑戦の場であること」が我が社の本質だと考えています。
今後目指している未来
───今後の事業におけるビジョンはどのように描いていますか?
現在はクライアント向けにシステム開発やシステム構築を行いながら、人材育成にも力を入れてきましたが、中長期的にはもっと裾野を広げていきたいと考えています。具体的には、お客様の業務を受託し、それをすべてシステム化した上で、さらに業務代行まで含めた形に進化させたいと考えています。
その中で生成AIや最新システムを活用していく構想もあります。会社として将来的にはもっと規模を拡大して関わる人を増やしていきたい、ということが今の楽しみですね。そして、内容はあまりまだ言えませんが、新規事業も考えています。これからの展開として、いろいろと準備を進めているところです。
─── 楽しみな展望です!最後にインタビューの終わりに際して、一言いただけますか?
そうですね、トレジャーフットに対して、これは毎回言っているのですが、もしトレジャーフットがいなかったら、私の会社は成り立っていなかったと思います。きっと今のように楽しく仕事もできていなかったのではないかとも感じます。
トレジャーフットは、Soooyと同じように「良い人のプラットフォーム」になっていると感じています。人が人をつなぎ、素敵な人がさらに素敵な人をつないでいく中で、良いご縁を生み出す会社だなと感じます。
その恩恵を私自身も、Soooyでもたくさん受けています。みなさんのおかげで、面白くて素敵なお客様や仲間に巡り会えて、本当に楽しく企業活動ができています!
おわりに
インタビューを通して、滝田さんのお人柄の良さが伺え、素敵な人の巡り合わせが起きていると感じました。そしてコミュニケーションのみならず、企業への支援実績や価値創出について伺うことができました。
業務効率化に悩む企業は、一度カジュアルに相談してみてはいかがでしょうか。トレジャーフットには滝田さんのように、企業へ共走するプロ人材が揃っています。