不確かな時代を生き抜くためのキャリアドリフト

目まぐるしく社会情勢が変化していき5年先の予想が難しい今、「キャリアドリフト」という考え方が注目されていることをご存じでしょうか。

この記事では、「キャリアドリフト」の意義や実践方法について解説していきます


■「キャリアドリフト」とは

少し前までは、自身の理想の働き方・キャリアプランを事前に明確にし、そこに向かって経験を積んでいく「キャリアデザイン」の考え方が主流でした。しかし社会の変化のスピードが早く先の見通しが立ちにくい現代では、想定した通りのキャリアプランを進み続けることは難しくなっています。

そこで注目を集めているのが、神戸大学名誉教授を務め、日本のキャリア研究の第一人者でもある金井壽宏教授(※)が提唱する「キャリアドリフト」という理論です。

自分のキャリアについて大まかな方向性だけを決めておき、“あえて流されてみる”

偶然も味方につけながら、流れの勢いに乗ることで柔軟性のある人生を送ろうという考え方です。

※引用
https://www.shimadzu.co.jp/boomerang/30/06.html
https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/0905/19/news148.html
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2010/10/pdf/004-015.pdf?_fsi=Y4ENVFUt

■キャリアドリフトのメリット

「キャリアドリフト」のメリットについて、もう少し詳しくお話しましょう。

◇変化に柔軟に対応できる

自身のキャリアを詳細に定めてしまうと、社会で起きる変化への対応がしにくくなります。起こる変化に身を任せることによって、柔軟に対応する対応力が身につき心の余裕が生まれます。

◇キャリアプランが広がる

社会の潮流を読み取り、変化に都度対応していくことは、自身の可能性を広げることに繋がります。見えなかったことが見えてきたり、思ってもみなかったチャンスをつかんだりするきっかけができるかもしれません。


■キャリアドリフトの実践方法



それでは、キャリアドリフトの実践方法を紹介します。

◇実践方法① 「節目」の時期を意識する

キャリアドリフトの考え方において、節目は主に4つあると言われています。

1つめは「危機の感覚」。
「自分はこのままでいいのだろうか?」という疑問を感じたときは、今後について考える岐路でもあります。

2つめは「メンターからの声」。
信頼できる先輩や上司からもらった意見は、客観的に今の自分を見つめたり、気づいていなかった危機に気づいたりするチャンスかもしれません。

3つめは「ゆとりや楽しさの感覚」。
「自分がやっている仕事が楽しい」「嫌で仕方なかったのに、苦なくやれるようになっている」と気づいたときはなぜそう感じるようになったのか振り返るタイミングです。

4つめは「人生のイベント」。
年齢が大台に乗ったとき、転職、出産、育児、介護、病気といったことも、“節目”にあたります。


◇実践方法② キャリアに方向付けをする

“あえて流されてみる“と先述しましたが、何も考えずにすべての変化に流されるという意味ではありません。キャリアドリフトにおいて重要なことは、起きている変化に対して自分の価値観をぶつけ、譲れる価値・譲れない価値を考えることです。

その結果、譲れる価値ととらえることができれば、大胆に自分のキャリアを転換してみましょう。

◇実践方法③ 偶然を楽しみ、味方につける

“節目”においてキャリアデザインをしたら、しばらくはその流れに乗り、出てきた偶然やチャンスを楽しみながら、また“節目”を迎えたら都度方向修正を行う。この繰り返しで、ゆるやかに自分のキャリアを形成していきます。


■まとめ

“あえて流されてみる”ことでキャリアを構築していく「キャリアドリフト」。

自身の仕事や人生をより意味のあるものにするために、このような考え方をうまく活用して、先の見通しが立ちにくい時代を生き抜いていきたいですね。

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