この度、トレジャーフットでは地場経済の活性化を目的としたM&Aサービス「FUERCO(フエルコ)」をスタートします。
今回は、日本の地方中小企業が直面する現状や課題に触れつつ、トレジャーフット代表田中にインタビューを行い、「FUERCO(フエルコ)」についての思いや今後の構想などについて伺いました。
日本の地方中小企業の現状
事業承継問題の深刻化
日本の地方中小企業が直面している最も深刻な問題の一つが事業承継です。
現在多くの経営者が高齢化しており、後継者が見つからないという状況が全国で広がっています。
特に地方では、若い世代が都市部へ移住する傾向が強く、後継者不足が一層深刻化しています。
事業を継ぐ意欲がある人材が少ない現状では、廃業を選択する企業も増えつつあります。
この結果、地域経済における雇用機会や地場産業が減少し、地方経済全体が縮小していくリスクが高まっています。
経営環境の変化
加えて、コロナウイルスによるパンデミックやデジタル化の急速な進展は、地方中小企業の経営環境を大きく変えました。
従来のビジネスモデルが通用しなくなる中で、経営戦略の見直しが急務となっています。しかし、多くの中小企業は限られた資金や人材の中で事業を運営しているため、デジタルトランスフォーメーション(DX)や新たな市場開拓に踏み切ることが難しい状況です。
こうした環境下では、単独での対応が困難な企業が多く、外部の支援や新たなパートナーシップを模索する必要があります。
特に、IT化やDXに対応できない企業は、競争力を失い、市場から取り残されるリスクがあります。
このような背景の中、事業の拡大や維持のために、事業承継だけでなくM&Aの重要性が増しています。
日本におけるM&Aの市場動向
中小企業M&Aの増加傾向
近年、日本国内の中小企業M&Aが急増しています。特に後継者不足や経営者の高齢化が背景にあるため、M&Aは事業承継の一つの有効な手段として注目されています。
中小企業間のM&A件数は年々増加しており、地方企業の買収や業務提携が積極的に行われています。これにより、地域経済の再生や持続可能な成長が期待されています。
参照:事業承継・M&Aに関する現状分析と今後の取組の方向性について(令和6月28日 中小企業庁)
中小企業がM&Aを活用する理由には、事業承継だけでなく、人材確保や事業の多角化、さらには成長戦略としての活用が挙げられます。
たとえば、他企業との連携により、特定分野での専門性や技術を吸収し、競争力を高めることが可能です。また、従業員数が少ない中小企業にとっては、人的リソースの補充やノウハウの獲得が経営改善の大きな助けとなることもあります。
また実際にM&Aを実施した多くの中小企業は、M&Aを実施していない企業に比べ売上高、経常利益、労働生産性を向上させており、企業の成長に大きく寄与しています。
参照:事業承継・M&Aに関する現状分析と今後の取組の方向性について(令和6月28日 中小企業庁)
政府や金融機関の支援策
政府や金融機関も、中小企業のM&Aを支援するための政策を積極的に打ち出しています。具体的には、経済産業省や中小企業庁が事業承継支援のプログラムを展開し、後継者不在問題の解決に向けた取り組みを進めています。また、金融機関も中小企業向けの融資やM&Aに関連するコンサルティングサービスを提供し、企業がM&Aを選択肢として検討しやすい環境を整えています。
これらの支援策により、地方中小企業が新しい形での事業承継や成長を図り、地域経済の発展に寄与することが期待されています。
トレジャーフットはなぜM&A事業を始めるのか
トレジャーフット代表の田中に、新たにスタートするM&A事業の「FUERCO((フエルコ))」について話を聞きお話しをお伺いしました。
ートレジャーフットが新たに立ち上げた「FUERCO(フエルコ)」にとはどのような事業なのでしょうか。
「FUERCO(フエルコ)」は、「不易流行」という言葉からヒントを得ています。「不易流行」とは、変わらない本質と時代に応じた変化を表す四字熟語です。FUERCOは、事業の背景にある地域産業や企業に根付いた文化や事業者の思いを継承していけるようなM&Aサービスです。
特に地方の中小企業では、オーナーや従業員が大切にしている思いをいかに守り、地域に根差したビジネスを続けていけるかが一番大切だと思っています。
トレジャーフットは、そのような「変わらない本質」を守りながら、その地域にあるべき企業や地域を残していくための手段として、今回「FUERCO」をスタートするに至りました。
ートレジャーフットがM&A事業を手がけるにあたっての「強み」について教えてください。
地方企業にとって、事業を良くしていくための選択肢を多く提供できるところでしょうか。
M&Aに限らず、これまでトレジャーフットが行ってきた「プロ人材活用」というアプローチなども使いながら、事業の課題解決や改善提案まで総合的なサポートができます。
M&Aという出口を一つ見据えながらも、新規事業開発やデジタルトランスフォーメーション(DX)、コスト削減といったなどといったM&A以前の経営課題に対して、「プロ人材活用」というトレジャーフットが持っている強みを活用することができます。
必ずしもM&Aを行うということだけが正解というわけではなく、総合的に企業にとってベストな選択を提案できればと考えています。
ー「FUERCO」が地方の中小企業に提供できる価値とは何でしょうか?
「未来の選択肢を広げること」です。
多くの地方中小企業が直面している事業承継の問題や経営の不安を解消するために、ベストな選択肢を一緒に探していくといった姿勢を持ち続けたいと思います。
私たちは大規模なディールや収益性といった観点だけではなく、思いや価値観をベースにして行動できればと考えています。
ですので、M&Aのみならず、経営相談も含めて柔軟に対応し、地域産業が持続可能な形で存続できるよう支援します。
ー今後、どのような展望をお持ちですか?
ただM&Aを成立させるだけでなく、企業と共に経営をしていきたいと考えています。
地域の産業を良くしていくには、それぞれの分野に強い人が役割を担うべきです。例えば、ものづくりが得意な企業がそのまま経営に携わるのではなく、経営は専門家が支え、企業は本業に専念できるような形が理想です。
さらに、将来的にはファンドを設立し、トレジャーフットの価値観に共感する企業とともに地域産業をサポートしていきたいと考えています。
単に利益を追求するだけでなく、社会的意義を重視した「ポスト資本主義」的なアプローチです。儲かるだけでなく、長期的に続く持続可能なビジネスを目指し、地域に貢献していきたいです。
ー田中さんが目指す「FUERCO」の姿を教えてください。
トレジャーフットのM&Aサービス「FUERCO」は、単に売り買いの仲介をするだけではありません。企業が持つ不安や課題を一緒に考え、最適な解決策を提案できるパートナーでありたいと考えています。
今すぐの売却を考えていなくても、将来の事業承継や経営課題について、一緒に話し合いながら、地域産業をより良くしていくお手伝いをさせていただければと思っています。
私たちは、地方の中小企業が持つ独自の価値や思いを大切にしながら、長く続く事業へと繋げていくお手伝いをします。お気軽にご相談ください。