副業、複業、そして福業… これからの時代の働き方
近年、働き方は多様化し、個人の価値観やライフスタイルに合わせたキャリアの選択が可能になっています。この変化の中で、特に「副業」と「複業」という二つの似た言葉を耳にする機会が増えた方も多いのではないでしょうか。
こうした働き方は、単に収入の源泉としてだけでなく、将来のキャリア形成や個人のスキル成長などに大きく貢献する可能性を持っています。
今回の記事では、「副業」と「複業」の基本的な定義と特徴を掘り下げ、それぞれどのような意義を持つかを具体例と共に解説します。同時に、これらの働き方が個人のキャリアや生活にどのような影響を与えるかについても考察していきます。
副業とは何か
現代の労働市場において、「副業」という言葉は一般的になっています。副業とは、本業のかたわらで行われる、追加の収入源を得るための就労活動のことです。
あくまで副業は多くの人にとって、収入を増やす手段であり、自身の経済的な安定や生活の向上を目指す重要な選択肢となっています。副業を始めることには多くのメリットがあり、その中でも特に「収入増加」「多様な形態」「働き方の多様化」が挙げられます。
まず収入増加の面では、副業によって経済的な余裕を持ち、将来の不安を軽減し、家の購入や子供の教育費など特定の目標に向けた資金を早く貯めることが可能になります。
副業の形態は多種多様で、アフィリエイトマーケティング、FX取引、株式投資、不動産投資、オンラインでのアンケート回答やポイントサイトの活用、夜間や休日を利用したアルバイトなどがあります。
近年では業界業種問わず、多くの企業が従業員の副業を解禁または奨励しており、これにより働き方の多様化が進んでいます。
これは従業員がキャリアの多様性と自立を図る一方で、新しいスキルや経験を社内にもたらす可能性があります。
副業のメリットとしては、経済的な安定と生活水準の向上、スキルの獲得とキャリアの多様化、そして柔軟性と自立の実現が挙げられます。追加の収入源はより安定した経済状況を生み出し、生活水準を高めることに直接繋がり、異なる分野での副業を通じて新しいスキルや知識を獲得し、結果として、自身のキャリアを多様化させることが可能となります。
さらに、自分のスケジュールに合わせて副業を行うことで時間を柔軟に管理し、自立した働き方を実現することができます。このように、「副業」は新しいスキルの獲得やキャリアの多様化を通じて、個人の生活を豊かにする手段としての役割を果たしているのです。
それぞれの仕事を本業して捉える複業とは
一方で、「複業」という言葉は、「副業」とは異なる独自の意味合いを持ちます。
複業は、個人が専門知識や技術を活かして、複数の仕事に同時に取り組む働き方を指します。
副業との一番の違いは複業者がそれぞれの仕事を「本業」として捉え、それぞれに対して熱意をもって取り組む姿勢を持つことです。
複業には「専門知識や技術の活用が可能」「複数の仕事を本業として捉える」「自己実現とキャリア形成が可能」という3つの特徴があります。
「専門知識や技術の活用」では、自分が持つ特定の知識やノウハウを生かして異なる分野で仕事をすることができます。また、「複数の仕事を本業として捉える」ことで、各仕事を平等に本業とみなし、スキルやキャリアを広げる多角的な視点を持つことが可能になります。「自己実現とキャリア形成」においては、複業が自分の興味や情熱を追求し、異なる業界や職種での経験を通じてキャリアを形成する手段となります。
これらの特徴に加えて、複業には「多様な経験とスキルの獲得」「キャリアの多角化」「自己実現の追求」というメリットがあります。
複数の仕事を通じて様々な業界や職種での経験を積むことは、スキルセットの充実に直結し、「キャリアの多角化」を通じて将来の多くの可能性を探ることができます。さらに、「自己実現の追求」により、情熱や興味に基づいた仕事選びが可能となり、仕事に対する満足感と充実感を高めることができます。
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20210422_hr_02.pdf
(出所)リクルート「兼業・副業に関する働く個⼈の意識や実態の調査」
プロ人材というキャリアの可能性
将来的に自分のスキルを活かしてプロ人材としてのキャリアの選択肢としていく場合、副業や複業のどちらを選択するか検討する必要が出てきます。
全てを本業として捉えていく複業であれば、自身にとって何のための「複業」なのか、目的はどこに定めるのか、将来的にどうなっていたいか自身で考えていくことが重要です。
ここでは上記を踏まえ、長期的な目線でプロ人材としての将来キャリアを見た際に必要ないくつかの重要なポイントをお伝えします。
まず、「自分のニーズと目標を理解すること」が大切です。自分が何を求め、どのようなキャリアを目指しているのかを把握することが、適切な選択を行うための第一歩です。これには収入の増加、スキルの向上、新しい分野への挑戦などが含まれます。
次に、「リスクと報酬のバランスの考慮」をすることが重要です。「副業」や「複業」には時間の投資や学習の必要性などのリスクが伴いますが、それと同時に収入の増加やスキルの獲得などの報酬もあります。これらの要素を天秤にかけ、自分にとって最適なバランスを見つけ出すことが求められます。
最後に、「長期的な視点を持つ」ことが肝心です。「副業」や「複業」を選択する際には、短期的な利益にとらわれず、長期的なキャリアの展望も考慮に入れることが重要です。これにより、将来にわたって実り多いキャリアを築くための土台を作ることができます。
あまり知られていない第三の福業 - 働き方の新たな可能性
この記事では、「副業」と「複業」について詳しく記述してきましたが、最後に「福業」という新しい概念を紹介します。福業とは、収入を目的とするのではなく、心の満足や幸福感を追求する働き方です。
これは、単に収入やキャリアの成功を目指すだけではなく、仕事を通じて心の満足や幸福感を得ることに重点を置いたものです。この考え方は、より深い個人的な価値の追求を意味し、仕事に対する新たな視点を提供してくれます。社会貢献と個人の成長を結びつけることも特徴としています。
この種の仕事は、ボランティアや社会貢献、地方の地域活性化などを通じて、個人の成長と同時に社会への貢献を目指します。福業を通じ、個人は自己実現を図りつつ、社会に対しても積極的に貢献することができます。得られる要素を具体的にご紹介しましょう。
まず「精神的な満足感」です。自分の価値観や情熱に基づいて活動することは、内面的な満足感を大きく高める効果があります。これにより、個人は仕事や活動を通じて深い意義と充実感を得ることができます。
次に、「社会的なつながりの強化」も重要な成長の要素です。地域社会や特定のコミュニティとの関わりを深めることによって、より充実した社会生活を送ることが可能になります。これは、個人が社会的なつながりを通じてサポートを受け、他者との相互作用から学ぶ機会を増やすことを意味します。
最後に「自己実現の道を開く新しい働き方」についてです。個人が自分自身の内面を豊かにし、自己実現を目指すことができるような環境を提供します。これにより、従来の仕事の枠を超えて、自分の真の可能性を追求することができるようになります。
これらを踏まえて、「福業」は経済的な利益を超えた、個人の内面的な充実と社会的な貢献を目指す働き方として位置づけられます。この新しい概念は、プロフェッショナルにとって、自分自身と社会の双方に価値をもたらす新たな選択肢となり得ます。
この記事を通して、将来のキャリア選択などに迷われている読者の方々が、多様な働き方を考えるきっかけになれば嬉しいです。