【プロジェクトレポート】温泉街の旅館によるインナーブランディング支援

プロジェクトの背景と経緯

兵庫県にある旅館を経営されている企業様は、100年以上の歴史を持つ旅館です。
この長い歴史の中で、企業様は昭和の時代に移転し、昭和レトロな雰囲気を保持しつつも、時代の流れとともに運営している旅館の魅力を言葉で表現することが難しいと感じることが増えました。また今後、50年後100年後の温泉街を考えた際にブランディングを魅力的なものに変化させていくかを考えていました。

今までの変遷を確認しようと動こうにも、過去100年の旅館に関する資料はあまり残っておらず、これまで旅館を運営してきた先人たちの想いを継承することにも課題がありました。

これまで、社内で温泉街を盛り上げていきたいという気持ちから、ロゴの変更やホームページの作成、旅館内部のテイスト変更などのブランディングを強化しようと試みてきました。
さらにブランディングを強固なものにしたいと考えました。そこで、ブランドの軸を明確にし、従業員を統一された方向性でまとめ上げ、今後の経営戦略を確立するために、プロ人材の支援を求めることにしました。

マッチング人材

直面していた複雑な課題を解決するために選ばれたプロ人材は、広範囲にわたるブランディング経験と実績を持つ、極めて資質の高い専門家でした。このプロ人材は、過去に大手ヘアサロンチェーンのリブランディングや、過去に世界展開している国内大手衣服販売店の中国市場への進出に関わるリブランディングに携わるなど、業界問わず、著名なブランドの変革を成功に導いた経験を有しています。単にデザインの変更やロゴの更新に留まるものではなく、企業文化、価値観、そして市場戦略全体を見直し、それらを統合的に再構築することに重点を置いて支援をしています。

プロ人材は、これまで東京、上海、香港を主な活動拠点としており、アジア市場におけるブランディングに約20年にわたり深く関わってきました。単にマーケターやデザイナーが提案する理論的または視覚的なブランディング戦略を越えて、企業が理解、対応がしやすいように心がけながら、実践的かつ実用的な解決策を提供することに重点を置いています。

プロ人材はブランディングディレクター、クリエイティブディレクター、アートディレクター、グラフィックデザイナー、さらには経営者としての視点を持ち合わせており、これら多角的な視点からクライアントのビジネスに最大の価値をもたらすことを目指していきました。

企業様の従業員や経営陣と密接にコミュニケーションを取りながら、旅館の持つ独自の価値と伝統、そして現代の顧客ニーズとの間でのバランスを見つけ出すための作業を進めました。現在も、企業様のリブランディング支援は継続して行なっています。

具体的なプロジェクトの進行

企業様とプロ人材との協働によるプロジェクトは、情報収集と現状分析から始まりました。まずは、企業様の歴史、文化、価値観、そしてこれまでのブランディングの試みについて深く理解するために、実際に現地訪問を行いました。

これらの訪問では、旅館の従業員や経営陣などとのインタビューを通じて、多面的な視点から情報を収集しました。プロ人材は、企業様が直面している課題を明確に把握し、その課題に対する解決策を策定するための基盤となる情報を収集することに注力したのです。

情報収集の次のステップとして、プロ人材は企業様の経営陣と密接に協力し、旅館のブランドアイデンティティの核となる要素を特定し、それらをどのように強化し、顧客に伝えていきたいかということに重点を置きました。

ブランドの構築は、従業員の理解と納得を得ることが極めて重要であり、これに成功することで、従業員一人ひとりが自社のブランド価値を深く理解し、お客様に提供すべきサービスの質と内容が明確になります。

プロ人材は、ブランドストーリー作成、ブランドバリューの特定、ビジュアルアイデンティティの構築など、ブランディングプロセスの各段階に積極的に従業員へ関与することを促しました。これによって、社員が、ブランド再構築プロセスにおける自身の役割と、そのプロセスが旅館にとってどのような意味を持つのかをより深く理解し、共有することができました。

ブランディング戦略の策定において、プロ人材は4C分析をはじめとするさまざまなフレームワークを活用しました。これにより、旅館が提供する独自の価値と、市場におけるその位置づけを明確にすることができました。

このプロセスを通じて、従業員は自身の役割と責任をより明確に認識し、お客様への接し方やサービス提供の方法において、一貫性と高い品質を保つことができるようになります。結果として、これはサービスの全体的な向上に寄与し、お客様の満足度の向上、ブランドの信頼性の強化、そして結果的には企業の収益性の向上にもつながります。

ブランドを通じて従業員に明確なガイダンスを提供することは、企業文化の強化にも寄与し、従業員のモチベーションの向上を促します。従業員がブランドの核心価値を内面化し、それを日々の業務に反映させることで、お客様にとっても、より価値ある体験を提供することが可能になりました。

最終的に、プロ人材の指導のもと、企業様は新たなブランドアイデンティティを確立し、それを反映したウェブサイトなどのブランド要素を開発しました。このプロセスを通じて、旅館として自らのアイデンティティを再確認し、その伝統を尊重しつつも、現代の顧客に訴求する新しいブランドイメージを構築することができました。
結果、一貫性のあるブランド体験を提供し、その結果、顧客満足度の向上とビジネスの成長を実現しました。

直面した課題とその克服

このプロジェクトは、課題にも直面しました。
最初の大きな課題は、社内のブランドに関する共通認識の強化でした。
それぞれの多様な視点を統合し、全員が一致団結してブランド再構築に取り組むことが、初期段階での大きな課題であり、挑戦でした。

そのためには、旅館の歴史、現在の市場環境、そして将来のビジョンについての深い理解を促し、従業員がブランドに対する自身の見解を共有する場をつくることが必要でした。

従業員はブランドアイデンティティ構築のプロセスに積極的に参加することが奨励されました。これらの活動を通じて、従業員間の相互理解が深まり、ブランドに対する共通認識が形成されました。

別の大きな課題は、旅館の長い歴史と伝統を現代の顧客ニーズにどのように適合させるかという点でした。

伝統的な旅館としてのアイデンティティを保持しつつ、現代のトレンドや顧客の期待にも応える必要がありました。このバランスを見つけるために、プロ人材は歴史を深く掘り下げ、その独自性と魅力を現代的な視点で再解釈しました。このプロセスでは、伝統的な要素と現代的なデザインを融合させたブランドアイデンティティを構築することを目指しています。

最終的な成果、現状

このブランディングプロジェクトは、現状も動いています。

1つ目は、新しく確立されたブランドアイデンティティについてです。
旅館の独特な魅力と長い歴史を現代的な視点で再解釈し、伝統的な価値を保ちつつ、従業員とのマインドセットの共有を通じて新しい顧客層にもアピールできるようにしました。このリブランディングにより、顧客サービスなどの各側面で一貫性と統一感を向上できるように取り組んでいます。これらの変更は顧客体験の質の向上に直結し、宿泊者様の満足度を上げていける基盤を創造しています。

また、従業員がリブランディングをする過程への参加を促すことが大切でした。
従業員は自らが働く旅館のブランドアイデンティティと価値についての理解を深め、その結果として、お客様へ提供するサービスに対する自信と誇りを高めることができました。このことは従業員の士気の向上につながり、結果として顧客へのサービス提供の質をさらに向上させることに成功しました。

プロジェクトは、社員全員が50年後100年後の温泉街のイメージを持ったうえで、お客様へより質の高いサービス提供を行っていけるように現在も取り組みを進めています。
現在は、新たに別のプロ人材で旅館の業務効率化でのご支援が始まっており、顧客に向けたさらなるサービス向上の強化を続けています。

このプロジェクトを通して、ブランドの再構築は、企業にとって、未来の温泉街の発展に向けた新たな始まりを作り上げることができ、この基盤の上にさらなる成長と発展のステップを目指して運営をしていくことができました。

この記事を通して、現在、宿泊業などのサービス業を行なわれている企業様、自分たちでリブランディングを行いたいが、どこから手を付ければよいか悩んでいる企業様にとって、ご参考になれば幸いです。

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