【プロジェクトレポート】既存の枠に捉われない経営へ | カマタマーレ讃岐による外部人材活用プロジェクト

香川県全域をホームタウンとするプロサッカークラブ、カマタマーレ讃岐は、2023年末時点、J2昇格を目指し、J3リーグを戦っています。「【ALL FOR SANUKI】 〜讃岐のために全員で 讃岐のために全力で~」というコーポレートスローガンを掲げ、監督・選手・スタッフ・サポーター・地域・スポンサーが一体となりチーム運営をしております。

運営会社「株式会社カマタマーレ讃岐」の経営・事業面では、若手メンバーを中心に少数精鋭で事業を進めています。プロサッカーチームとしては当然のこと、会社としてもより高みを目指し、熱い思いで、日々の仕事に取り組んでいます。

そこで同社は、売上拡大、社内強化を推し進めるべく、外部人材活用プロジェクトを発足しました。株式会社トレジャーフットでは、マーケティングや新規事業、そしてサッカービジネスにも詳しい外部人材を引き合わせ、プロジェクト支援を実行。弊社自体もパートナーとして伴走し、プロジェクトの円滑な進行や全体フォローを実行してまいりました。

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◾️プロジェクト概要

支援内容:
・チケットセールス・ファンクラブの販売促進
・クラブトークン「FiNANCiE」コミュニティの活用促進〜運営実務
・「FiNANCiE」を活用したファンディング実施支援
・宝山湖ボールパークへのJ1ライセンス基準クラブハウス建設のための営業支援
・その他事業全体へのアドバイスや社員フォロー

プロジェクト期間:
・2022年10月〜2023年11月末(1年1ヶ月)

体制:
・株式会社カマタマーレ讃岐:代表取締役社長 池内秀樹様/顧客創造部マネジャー 三宅修平様
・外部人材:大手通信会社所属 森重 敦司様
・プロジェクトマネジメント:株式会社トレジャーフット 事業推進部 部長 齊藤圭
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Roadmap/Process:プロジェクトの大まかな計画

今回のプロジェクトでは、以下のようなロードマップで進めてまいりました。

カマタマーレ讃岐の強みを価値に転換する事業プラン

正社員として雇用することが難しい外部人材。業務委託 ×リモートだからこそ、定期的にコミュニケーションを取ることができる今回のプロジェクトですが、まずは実際にカマタマーレ讃岐の事務所を訪問。対面で顔を合わせ、現状把握や施策の優先順位を確認。

その後、目先の課題であったマーケティング施策の実行フォローや、クラブトークンにおけるコミュニティ活性の実務支援を進めていきました。次の取り組みとしても、クラブの収入の根幹であるスポンサー企業の獲得をはじめ、事業全体について柔軟にサポートしていく、という方向性を決定しました。

これまでカマタマーレ讃岐がつくりあげてきた価値や土台を、より強固に、そして関わる皆が願う「J2昇格」という目標に向けて、全員が走っています。カマタマーレ讃岐の未来を描く1つの手段として、課題の解決とカマタマーレ讃岐の強みを活かす事業プランを検討しました。

「マーケティング × 新規事業 × Jリーグ」の強みを持つ外部人材

今回のプロジェクトにて、支援に入っていただいた森重様は、大手子供向け学習サービス提供企業にて、マーケティングや新規事業、また企業目線からサッカーチームのスポンサード側としても経験。続いて、大手通信会社での新規事業やtoC向けサービス事業責任者として、0→1、1→100、新規事業立案や、事業撤退まで全ての領域を経験していることが強みです。

プライベートでは、1999年からJリーグへ参入したチームのボランティア・コアサポーターとして応援してきただけでなく、新スタジアム巡りも1つの趣味として、日本サッカーに関わり続けています。これまで培ってきたビジネススキルや、様々な角度から語ることができるJリーグについて、複業として関わっています。

Points/Outputs:外部人材を活用することで見えた新しい景色

1)ファンクラブの売り方を工夫し、前年比155%増

プロジェクト以前に計画していたファンクラブのコースを再検討し、価値を上乗せした最上級プランを用意しました。サポーター目線で、「あれば嬉しい」スペシャルなプランです。実際のサービス提供における課題や利益追求のための課題は残りますが、サポーターの方へ価値を届けられるよう、引き続き工夫していきます。またシーズンパスの販売額についても、前年比プラスで推移することができました。

2)コツコツと積み上げるクラブトークン運用。300%以上の価値向上

Jリーグの中でも実施しているチームがまだ少ない、クラブトークンの活用による新しいスポーツビジネスへの取り組み。スタート初期は、盛り上がっていたものの、人手不足による継続した運用の課題に直面していました。
アドバイザリーに限らず、ハンズオンの実務支援をしていくことはトレジャーフットの強みでもあります。実際の「FiNANCiE」の運用フォローにも注力し、コツコツ積み上げ、着手した時よりもトークンの価値が300%以上を超えました。

3)Jクラブ2023年度最高額!1,401万円のファンディング額を調達

FiNANCiEを活用したプロジェクトでは、2023年夏に、カマタマーレ讃岐として第二回目のファンディングを実施。営業メンバーはじめチーム全員の努力もあり、法人・個人問わずに、多くの方々よりご支援をいただきました。結果として、2023年におけるJリーグクラブ最高額である1,401万円を達成(2023年12月時点/1回あたりのファンディング額)。クラブとしても、1つの事業収入の在り方を探ることができた素晴らしいプロジェクトでした。

4)新しい人材活用と既存メンバーとの相乗効果

「人材」という観点で考えてみますと、もともと香川県高松市という地理的な環境は、大都市圏に比べて若手や経験者を採用することが容易でありません。今回、業務委託メンバーの参加により、森重様の経験・スキルを活用してプロジェクトの推進力を高めることや、既存メンバーとの相乗効果も期待していました。
特に、若手メンバーが多いカマタマーレ讃岐。ビジネスマンとしても、このようなプロ人材と肩を組みながら仕事をすることは、新しいアイデア、また視座の底上げにも繋がります。若手メンバーが主体的に動けることや、もともと持っている自分たちのクラブ愛を形にすることが、副次的にプロジェクトのメリットとして生まれていきました。

5)滞りないプロジェクトを実行

これまでトレジャーフットは、様々なプロジェクトを創ってまいりましたが、外部人材活用で陥りやすいリスクの1つに、企業側が「活用しきれなかった」と感じてしまうことが挙げられます。複業に入る方目線でも、その方が持つスキルを最大限発揮した支援に集中いただきたい目的もあるため、トレジャーフットから、プロジェクトマネジメント(議事録やタスクの確認、会議の進行、月次でのレポート提出、双方へのコミュニケーションなど)に取り組んでおります。本プロジェクトについても、滞りなく伴走いたしました。
また、実際に高松市へ行った際には、ビラ配りにも協力させていただき、クラブやボランティアの方々とも同じ目線で活動いたしました。スタジアムにも何度も足を運ばせていただき、特にFiNANCiEを活用したファンディング時には、ブース出店のお手伝いをする機会もいただきました。

Members:プロジェクト参加メンバー

以下メンバーを中心にプロジェクトを進めてまいりました。

メンバーズボイス

カマタマーレ讃岐は、2019シーズン以降、売上、競技成績ともに苦戦しており、事業の縮小がチーム強化費の縮小を招き、チーム成績の不振が事業を縮小するという負のスパイラルに陥っていました。その中でも練習環境の改善が必ずチームを強くし、J2復帰を大きく後押しすると考え、2021年以降、香川県をサッカーの力でもっと元気にしたいと考えるスタッフとともに練習場整備プロジェクトを敢行しておりました。しかしながら、通常の事業運営と同時に2億円を超える整備プロジェクトを走らせることに不安を感じておりました。

このような状況下で、トレジャーフット社が提供する外部人材活用サービスに出会いました。直接雇用が難しいプロフェッショナル人材の経験、スキルをタイムリースのような形で活用できるサービスを知り、すぐにトレジャーフット社とプロジェクトの目的、目標、進め方のすり合わせを行いました。その過程で候補の森重さん、齊藤さんの人柄を知り、社内スタッフとの相性もよく、最高のチームを組成できると確信しました。

実際にプロジェクトを進める中で、何よりありがたかったのは、森重さん、齊藤さんの柔軟な対応です。週次ミーティングを一回も欠かすことなくリードいただき、クラブ側のリソースの課題から進捗が停滞した際には、遅れを取り戻すための業務分担の見直しなど柔軟に対応いただきました。
7月から9月にかけて行ったFiNANCiEファンディングでは、当初予定していた個人向け販売に加えて法人向け販売でもサポートいただき、10月に完成するクラブハウスに最高の設備、機能を備えるためのファンディングに大いに貢献してくださいました。

クラブスタッフにとっても、1年余りのプロジェクトを通じて、森重さん、齊藤さんのプロフェッショナルな仕事ぶりから学ぶことが多く、大いに成長できたと思います。今回のプロジェクトは練習場施設の完成をもって終了しますが、今後も、プロフェッショナル人材が必要なプロジェクトを始める際には、トレジャーフット社に相談したいと思っております。

ーーー株式会社カマタマーレ讃岐 代表取締役 池内秀樹

個人としても故郷である香川県をサッカーで盛り上げることを夢として、J2復活、J1昇格、ACL出場を本気で目指していますが、その夢のためにはクラブの営業収益をもっともっと高める必要があると感じていました。プロスポーツビジネスでは「稼ぐがすべて」とも言われ、いままではどこかタブーとされていたようなスポーツでお金を稼ぐことが近年ではファン・サポーター、スポンサー、自治体にも理解されつつあります。稼ぐことがクラブを強くして、ホームタウン活性化に繋がります。

トップチームでも優秀な選手を獲得して強くなりますが、フロントも同じで、稼ぐために必要なことはどれだけ優秀な人材を引き込めるかです。そこに投資をしたとしても、その投資以上のキャッシュを生み出してくれる人材が入ればいいだけです。

このプロジェクトをトレジャーフット社と始めたキッカケは、女性の営業スタッフさんからの電話営業でした。「Jクラブを外部人材の活用から支援できます。適任の人材がいます」という内容でしたが、まさしくリーグ全体でも重要視されていた外部のプロフェッショナル人材活用というお話で、さらにクラブの課題感も調べられており、すぐにアポイントを設定していただきました。あの電話を取れて本当に良かったと思っています。

香川県という地方でプロフェッショナル人材にフルタイムで来てもらうことは簡単ではありません。そんな人を探している時間もありません。そんな中、マーケティング領域の豊富な経験をお持ちで、いまも最前線で活躍する森重さんを紹介していただき、齊藤さんにも様々なプロジェクトのマネジメントまで実行してもらいました。トレジャーフット社と共に外部人材を活用した稼げる仕組みづくりは、カマタマーレ讃岐という地方のJ3クラブが、全国のJクラブに自慢ができるプロジェクトです。

ーーー株式会社カマタマーレ讃岐 顧客創造部 マネジャー 三宅修平

ご一緒させていただいた「カマタマーレ讃岐」の池内社長・三宅さん・木所さんが、このチームで、香川県を盛り上げるという強い意欲をお持ちでした。その熱い想いにこたえられるように、自分の経験や日本全国でうまくいっているスポーツビジネスの事例を参考にしながら、1年間1つ1つの課題に一緒に挑戦してきました。
宝山湖スポーツパークができた記念すべき年に、チームのフロントと一緒にチームの理念に基づいた普及と市場拡大の部分で1年間一緒に伴走することができたので、結果につなげられたのではないかと思います。
ホーム最終戦で池内社長が『来年はJ2昇格を絶対達成します』と宣言した時にサポーターの拍手と歓声が上がったのを見て、このチームはこれからまだまだ強くなっていけると確信しています。来年こそはJ2へ!そしてその先へ!これからのカマタマーレ讃岐の活躍を祈念しております。

ーーー外部人材 森重 敦司

カマタマーレ讃岐の「力」を存分に感じるプロジェクトでした。会社としても、チームとしても「未来しかないチーム」だと心から感じています。経営、集客、広報、営業、それぞれの役割で、各メンバーが持つ高い熱量。「まだまだ」「もっともっと」という思いに応えたい一心でプロジェクトを進めました。その一方で、熱い思いと同時に、「冷静な頭」「意図的な戦略」も時には必要で、そうしたものを考える良いきっかけになったのではないでしょうか。

弊社トレジャーフットは、「新しい働き方を創造し、地場産業の発展に貢献する」をミッションとしており、そうした想いを体現できた良い事例だと手前味噌ながら感じております。

私個人的にも、Jリーグが大好きな人間ですので、素晴らしい体験をさせていただきました。2023年シーズンは掲げていた目標成績を出せなかったかもしれませんが、米山監督が目指す「良い守備から、良い攻撃へ」の土台が出来上がった1年だったと、1サポーターとしても感じております。そして何より、大きな転換となりうる「宝山湖クラブハウス・練習場の設立」「5,000人プロジェクト」など、こうした変化を、共に過ごさせていただいたことを大変嬉しく思っています。近い将来、J2昇格、そしてJ1へ、さらにはACLへ!皆様の飛躍を心から願っております。このご縁に深く感謝しております。

ーーー 株式会社トレジャーフット 事業推進部 部長 齊藤圭

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