【イベントレポート】人とのつながりが教えてくれた、教科書にない地域課題 妙高フィールドワーク

2026年1月23日(金)から25日(日)の3日間にわたり、新潟県妙高市にて「2026 課題解決型妙高フィールドワーク」が開催されました。

本イベントは、「妙高で実行する」をコンセプトにしたプロジェクト「Co-Create MYOKO」。全4回の都内ワークショップを経て、現地でのフィールドワークを通じ、妙高と関わる人が「想い」を具体的なアクションとして実行することを目指しています。昨年度の「認知拡大」フェーズから一歩進み、今年度は地域により深く入り込み「関係人口の創出」とそこから見えた「地域課題の解決」に取り組んでいます。

地域の課題を自分ごとに

本フィールドワークに先立ち、2025年11月から12月にかけて計4回のワークショップを都内で実施。今回の訪問先となる4名のゲストを招き、それぞれが抱える課題を深く掘り下げました。

  • 第1回:「MAHORA」の蔡紋如(サイ ウェンル)さんによる集客マーケティング戦略の検討
  • 第2回:「Myoko Coffee」の野村功太朗さんによる店舗活性化とアンバサダー募集
  • 第3回:「山﨑建設」の山﨑健太郎さんによる燕温泉の空き家活用と「湯守」の役割
  • 第4回:「はねうまネットワーク」の東智隆さんによる境界を越えたマルチワークの実践

これらのワークショップで事前に現地のリアルな課題やプレイヤーの想いを深く理解し、その上で3日間のフィールドワークを実施しました。参加者は上越妙高駅周辺、新井エリア、妙高高原エリアなどに拠点を置く4つの事業者を訪問。現場の視察や事業者へのヒアリングを通じてさらに具体的な課題を発見し、理解を深める「インプット」の場となりました。ワークショップとフィールドワークを通して見えてきた課題に対して、2月6日の発表会で解決策を提案する「アウトプット」へとつなげることで、参加者が自分事として地域に関わり続ける「関わりしろ」を模索する機会となりました。

現場で向き合うプレイヤーの苦悩と現場のリアル

雪が降りしきる中、参加者は上越妙高駅に集合。都内イベントからの参加者4名に加え、地元のアウトドア専門学校生やUターン就職者、上越市出身者など多様なバックグラウンドを持つメンバーが顔を合わせました。

新井エリアに新設された図書館施設「まちなかプラス」でオリエンテーションを実施し、最初の訪問先である「Myoko Coffee 北新井店」へ。 

野村功太朗さんが経営するこの店舗は、スキー場エリアの店舗とは異なり、生活圏にあるものの客足が伸び悩んでいます。参加者は現場の雰囲気や客層を肌で感じながら、野村さんとコミュニケーションをとり、県外にいても関われる「アンバサダー」としての役割や、SNSを活用した具体的な発信方法など、即効性のあるアイデアが次々と挙げられました。

 

この日の昼食は中華料理「らーめん 天空」へ。なんとこのお店は、今回のゼミ参加者のご実家なのです。冷えた体を温めつつ、ご家族の温かい歓迎を受け、参加者は地域コミュニティの一員として迎え入れられる感覚を味わいました。
午後は、山﨑建設・山﨑健太郎さんの案内で燕温泉エリアへ。

「空き家の利活用と移住者募集」というテーマが設けられていましたが、山崎さんは「課題解決も大事だけど、まずは実際の現場をよく知ってほしい」と現地にいるからこそ分かることを教えてくれました。立地や権利関係の複雑さ、冬の豪雪という厳しい環境など、一朝一夕には解決できない「リアルな課題」を目の当たりにしたのです。真剣に耳を傾ける参加者からは、金銭面や人手不足といった課題の見え方や感じ方に違いが現れ、有意義な対話が生まれました。

最後に山崎さんからは「季節が変われば、また現地の見え方も変わってくる。ぜひまた見に来てほしい」と今後に期待を寄せるコメントをいただきました。
初日の夜は、昨年度のフィールドワーク訪問先でもあった、起業家の竹田ゆきなさんが営む「台所micchi」にて交流会を開催。「食」といった共通点から、参加者は竹田さんと一緒に食に関するイベントをしたいという発想も飛び交うなど、新たなつながりが生まれました。

交流から見えた「自分らしい」関わり方

2日目には、蔡紋如さんが手がける「MAHORA西野谷(一棟貸しの民宿)」を訪問。

築120年の古民家を活用した民宿の「集客マーケティング」について話し合いました。蔡さんは参加者に興味津々で、出身地や現在の活動について積極的に質問。参加者の中には蔡さんと同じ台湾出身の方もいたことから、すぐに意気投合しました。
この日のランチは、地元で親しまれる「精肉・焼肉とよおか」へ。出てきた料理の圧倒的なボリュームと美味しさには参加者一同、笑顔もお腹もいっぱいになりました。蔡さんも一緒に過ごし、食を通じて地域の豊かさを体感しました。

午後は、東智隆さんが事務局長として務めている「はねうま複業協同組合」にて、妙高ならではの「マルチワーク(複業)」の実情をお話いただきました。

一つの肩書きにとらわれず、地域の仕事を組み合わせて働くスタイルや、今の組合の活動について、東さんから直接話を聞くことで、参加者自身のキャリアや関わり方を再考する機会となりました。そんな熱意ある東さんの話を聞き、地域のライターなどのクリエイティブを仕事にする参加者からは「ぜひ今度、東さんのこの取り組みについて記事を書かせてください」とお声がけする場面も。現地の働き方を知ることで、より多くの方へ広めるきっかけがつくられた瞬間でした。
最後の夜は、地元で長く愛される「居酒屋やまぎし」へ。地元の方が営むアットホームな空間で、2日間を振り返りました。参加者と地域住民が膝を突き合わせて語り合い、関係性を深めました。

大雪が教えてくれた、雪国の生活

最終日は、妙高の伝統産業である「かんずり」の雪さらし体験を予定していましたが、大雪により中止となりました。 交通機関も麻痺し、長野経由での帰路を模索する中で、参加者は「雪国で暮らす・働く」ことの厳しさと、自然環境に左右されるリアルな日常を身を持って体験することとなりました。

想いを実行へ

フィールドワークから2週間後の2月6日、課題解決案の発表会を実施しました。各事業者、フィールドワーク参加者、妙高市、地方創生に興味のある方々が集まり、和やかな雰囲気の中で3名の参加者に加え、事務局からも1名が発表を行いました。ここでは参加者3名の提案を中心にご紹介します。

白潟さんは、 就職を控える学生の視点から、実際に現地を歩いて感じた「人や物の繋がりを求めている人は想像以上に多い」という発見を共有。また、同じ妙高市内でもエリアや季節によって雰囲気が大きく異なる点に着目しました。現在は、フィールドワークで出会った他の参加者と共に、具体的に妙高で何かできないか話し合いを進めています。

「人生の後半戦」として二拠点生活を試行する重松さんは、楽しみながら関わる「ミニ部活」のようなアプローチを提案。妙高の面白い人々をアーカイブ化する「妙高人物図鑑(関係者MAP)」の作成や、学生特典や貢献度を見える化する「地域通貨(ポイント制度)」など、アナログとデジタルを融合させたユニークなアイデアを発表しました。

以前から妙高に関わっている齋藤さんは、「親子での里山体験教室」や、地域の人々の対話の場を作る「妙高100人会議」を提案。すでにある横の繋がりだけでなく、世代や属性を超えた「縦の繋がり」を作ることの重要性を説き、外部からだけでなく「中の人」に向けて発信していく姿勢を示しました。

それぞれの立場や視点から意見と解決案が飛び交い、参加者や事業者の方々はとても有意義な時間を過ごしました。その後のワークでも実際に事業者の方へ課題の詳細を深掘りしたり、その場でディスカッションをしたりと、実践的なアクションが展開されました。オンラインや書類上だけでは見えない温度感を共有し、直接顔を合わせて話し合うことの大切さを再確認する時間となりました。参加者それぞれが見つけた『自分なりの関わり方』。それこそが、この取り組みが目指した『関わり代』の創出です。

3つの入り口から始まる、まちづくり

引き続き私たちは妙高市で「関係人口創出」に向けて活動を行っていきます。
ひと口に関係人口といっても、その関わり方は多様です。「関係人口・交流人口・定住人口」という3つの入り口から人口を増やし、各”人口”の間で交流が生まれ、重なっていくことで、まちづくりや地域活性化につなげていきたいと考えています。
このフィールドワークや発表会を経て生まれたご縁から、妙高という地域全体をよりよくしていく活動が、これからさらに広がっていくことでしょう。

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