【イベントレポート】ここから始まる!全国最大級の生成AI講座 キックオフイベントとは?


8月31日、佐賀県が主催する「 RYO-FU AI SCHOOL 」のキックオフイベントが盛大に開催されました。本事業は、生成AIを活用して日々の業務に“1時間の余裕”を生み出すことを目指す、実践的な講座の開催を予定しています。
本講座スタート前のキックオフイベントとして、会場には受講生や関係者あわせて77名が集まりました。全体では100名が受講生として選出されており、国内でも例を見ない規模のAIリスキリング事業が本格的に始動しました。
これから始まる半年間に向けた学びとつながりの第一歩となる場となった様子をご紹介します。

AX事業とは?

「AX事業」とは、佐賀県が主導するAX推進人材育成プログラムの総称です。全国的にデジタル人材の不足が叫ばれるなか、地域に根差した生成AI活用スキルを持つ人材を育て、企業や自治体の業務効率化や新規事業の創出につなげていくことを目的としています。
今回のプログラムには、500名以上が説明会に参加し、そのうち300名が応募。その中から厳正な選考を経て100名が受講生として選ばれました。倍率は実に3倍。参加者はビジネスパーソンから自治体職員、起業を目指す人まで幅広く、多様なバックグラウンドを持つ人材が揃っています。
この「100名規模でのAI人材育成」を公的に実施しているのは、国内では佐賀県のみ。全国でも先進的な取り組みとして注目を集めています。AIを活用できる人材が地域に根付くことは、企業の競争力強化に加え、地域の課題解決や産業振興にも直結するものです。

熱意が交わるキックオフ

冒頭の挨拶は、主催である公益財団法人佐賀県産業振興機構 さが産業ミライ創造ベース(RYO-FU BASE)の井原氏によって行われました。
「今回の受講生は、300名の応募から選ばれた精鋭です。落選した200名の方々の思いも背負い、本講座の期間でしっかり学び切ってほしい」と力強い言葉が投げかけられました。
これまで「SAGA Smart Samurai」「SAGA Smart Ninja」などのDX人材育成講座を実施してきた実績を紹介しつつ、「修了率100%を目指す」と高い目標を掲げ、会場の熱気を一層高めました。

続いて登壇したのは主任講師である、がばいAIコンサルティング株式会社の本間氏。全6回にわたる講座の進行役を担います。
「初心者から経験者まで幅広く学べる内容を用意しています。ご自身の業務課題や目標を意識して受講することで、学びを実務に直結させてほしい」と受講生に呼びかけました。

その後のオリエンテーションでは、講座全体の目的や進行ルールが説明されました。目標は「毎日の業務を1時間効率化できる人材になる」こと。修了要件は以下の3点と定められました。

①出席率80%以上(6回中5回以上出席)
②各講座の課題提出率100%
③最終課題の提出

また、講座終了後の活動として「開発部」「プロンプトコンテスト」といった発展的な取り組みも紹介されました。生成AIの活用をただ学ぶだけでなく、アウトプットや交流を通じて実践力を磨く仕組みが設けられているのがスクールの特徴です。
休憩を挟んだ後は、受講生が「水曜午前・午後」「日曜午前・午後」の各コースに分かれて交流を行いました。自己紹介で和やかな雰囲気が生まれたところで、早速生成AIを活用したワークもスタート!自分たちの受講するコース名とイメージ画像を作成します。

どのコースでも、自分たちの受講する曜日や時間を組み合わせた名前が決まります。
例えば、日曜日の午前中に受講するコースでは「日曜日」・「午前=朝」・「生成AIについて研究する=ラボ」を組み合わせて「SUNRISE LAB」というコース名となりました。

中には、投票結果が同率になってしまったため、コースを超えた会場全体でコース名を決定する場面も生まれました。「名刺にも載せられるくらいスタイリッシュなものにしたい!」という発案者の思いには思わず「おお~!」という感嘆の声も上がるほど。

自分たちで決めた名前を使うことで、一体感が高まり、これからの学習に向けたモチベーションがより強固になった様子でした。

イベント終盤には、コースを越えた全体交流の時間も設けられました。

テーマは「AIを仕事でどう活用したいか」「この半年で挑戦したいこと」「AI関係なく最近ハマっていること」の3つ。参加者は興味のあるテーマごとに集まり、ドリンク片手にざっくばらんに語り合いました。
普段は交わる機会の少ない異業種の参加者同士が意見交換を行うことで、新たな視点やつながりが生まれたのも、このプログラムの大きな成果といえるでしょう。

最後に

今回のキックオフイベントは、学びの場であると同時に、受講生同士がつながり、共に挑戦する仲間を見つける場でもありました。井原氏が語った「落選した200名の思いを胸に学び切ってほしい」という言葉は、多くの参加者に強く響いたことでしょう。

これから半年間、受講生たちはAIの基礎から実践までを体系的に学び、最終的には自らの業務や地域に成果を還元することが期待されています。さらに講座後も続く開発部や成果報告会を通じ、学びが継続的に循環していく仕組みも整えられています。

「100名規模のAI人材育成」という先進的な挑戦を掲げた佐賀県AX事業。その歩みは始まったばかりですが、今回のキックオフイベントで見えた熱気と意欲が、この事業を大きな成果へと導いていくに違いありません。

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