Cosme Park SAGA(CosPa) キックオフイベント レポート 〜コスメ×異業種参入 SAGAコスメティック・イノベーション〜

はじめに

2025年6月30日、マイクロソフトAI&イノベーションセンター佐賀にて、「Cosme Park SAGA(コスパ)キックオフイベント」が開催されました。
本イベントは、佐賀県が進める「コスメティック構想」の一環として、「コスメ×異業種参入 SAGAコスメティック・イノベーション 〜コスメ県SAGAの可能性を考える〜」がテーマとなっています。
当日は、会場に約80人、さらにオンラインでも80人以上が参加し、佐賀県内はもちろん、全国から多くの方が集まる盛り上がりとなりました。

佐賀県のコスメティック構想

佐賀県は2013年から「コスメティック構想」を進め、「日本一コスメビジネスがしやすい場所」を目指しています。化粧品の生産額は2014年から約2.1倍に増え、全国平均(約0.9倍)を大きく上回っています。
今後も自然や地元の素材、産学官の連携を強みに、佐賀発のコスメを全国や世界に広げていく計画です。
この構想をもとに生まれた「Cosme Park SAGA(通称、コスパ)」は、コスメビジネスに関心のある人が学び合い、つながるための新しいコミュニティです。
業種を問わず誰でも参加でき、イベントやオンライン交流を通して、佐賀のコスメをもっと全国・世界へ広げていくことを目指しています。

パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、佐賀大学の徳留嘉寛(とくどめ よしひろ)教授、バーズ・プランニングの松尾聡子(まつお あきこ)代表、イロップの高橋洋介(たかはし ようすけ)代表の3名が登壇し、「佐賀での挑戦」「佐賀コスメのリアル」「これからの展望」などをテーマに、佐賀のコスメビジネスの今と未来について熱く語り合いました。

なぜ佐賀でコスメビジネスに挑戦するのか

まず話題に上ったのは、「なぜ佐賀でコスメビジネスに挑戦するのか」という問いでした。
徳留氏は、「佐賀の自然や農産物、そして地域資源が本当に多彩で、研究・教育の現場でも刺激が多い」と語ります。もともと大手化粧品会社で研究職を経験した後、大学へとキャリアを移した徳留氏は、「産学官が非常に近い距離で連携できるのが佐賀の強み」とし、「行政や地元企業、大学が一体となって次世代の人材を育成し、佐賀から新しいコスメの価値を発信できる」と、地域全体を巻き込んだダイナミズムを力強くアピールしました。
松尾氏は、加唐島の椿油との出会いをきっかけに、自らもゼロからコスメブランドを立ち上げた経験を紹介。「デザイナーとして、地域の資源をどう活かすかを真剣に考えた」と語り、島の人々や生産現場との信頼関係を築くために草刈りや収穫作業にも加わったというエピソードは、会場に共感の輪を広げました。「異業種からの参入だったが、佐賀のコミュニティの温かさや、行政・JCCの手厚いサポートが心強かった」と話し、挑戦を続ける原動力になっていると明かしました。
高橋氏は、「佐賀とは今回が初めてのご縁」と前置きしつつも、業界の第一線で商品企画やブランド開発に携わってきた豊富な経験から、「外から見ると、佐賀には全国に誇れる独自の強みがたくさんある」と評価。「いまはSNSやオンラインを活用すれば、地方発でも全国・世界にビジネスを広げられる時代。多様な人が集まる場としてCosme Park SAGAのようなコミュニティがあることは大きな強み」と述べました。

それぞれの立場から見る佐賀コスメのリアル

ディスカッションでは、各登壇者が現場目線で感じている課題や、佐賀コスメならではの強みについても率直に語られました。
松尾氏は「地方だからこそ、小ロット生産やストーリー性のあるブランドづくりがしやすい」としつつも、「生産量や人材不足、販路拡大などの壁も現実的にある」と課題を指摘。しかし「小さな島の椿油からでも、大きなブランドに成長できる可能性があることを身をもって感じている」と、これから参入したい方への力強いメッセージも添えました。
徳留氏は「エビデンスや研究データに基づいたコスメ開発が重要」と強調。「佐賀大学や県内の研究機関が連携して、原材料の有用性や安全性をしっかり証明できる体制が整ってきた。これが佐賀コスメの大きな信頼性につながる」と語りました。
高橋氏は、「地方発ブランドでも、ストーリーや体験価値をいかに伝えるかがカギ」とし、近年のD2Cやインフルエンサー連携の成功例も紹介。「リアルとオンラインを柔軟に組み合わせ、外からの視点も取り入れることで、佐賀の魅力がさらに広がる」と期待を寄せました。

これからの佐賀発コスメを共に描く

最後に「これからの佐賀発コスメ」について語るパートでは、全員が「誰もが挑戦しやすいコミュニティづくり」の重要性を語りました。主催者である佐賀県の担当者も「”やってみたい”という意思を持つ人を地域全体でサポートしたい」と語り、登壇者同士も「コミュニティが広がることで新しいコラボやイノベーションが生まれるはず」という声が上がっています。


会場では、「産学官の連携がとてもスムーズで、日ごろから協力しやすい」といった、佐賀ならではの魅力を実感する声が多く聞かれました。また、異業種からの参入や新しい事業への挑戦を歓迎する温かな雰囲気もあり、「ここなら初めてでも安心して挑戦できそう」と感じる参加者も多く、前向きな気持ちを後押ししているようでした。
さらに、佐賀にはエビデンス(科学的根拠)を重視する研究体制がしっかり整っているため、安全性を担保した商品開発に取り組めるという安心感も共有されていました。
そして何より、「地方発でも、やり方次第で販路やブランドの可能性は無限に広がる」といった未来への期待があふれており、佐賀から新しいコスメイノベーションが生まれることへの期待感が、会場全体を包んでいました。

ライトニングトーク

ライトニングトークでは、コスメや美容、地域のものづくりに関わる佐賀県内外の企業や団体が、それぞれ3分間で自社の特徴や新しい取り組みを発表しました。
たとえば、株式会社ロイスは塩を使った独自の石鹸やOEM製造、三栄興産は健康茶や地元素材による「インナービューティ」の提案、JCC(ジャパンコスメティックセンター)は佐賀の素材を活かしたコスメや国際展開の事例などを紹介。
さらに、プライベートサロンSagaは看護師常駐エステと自社開発の美容液、美ライフスタイルLaboはコスメやライフスタイルの新しい提案について語りました。
どの発表も、佐賀ならではの資源やネットワークを活かしたチャレンジが多く、参加者同士の新しいつながりやコラボのきっかけになりました。

まとめ

「Cosme Park SAGA(コスパ)」は、「コスメ県SAGA」を掲げ、これからも月1回のイベントや、オンラインでの交流、ブランド開発や販路拡大に関する専門家との個別相談、などを通じて、佐賀発のコスメビジネスを応援していきます。
この日のイベントでは、「佐賀から新しいコスメのイノベーション(革新)が生まれる!」という大きな期待と熱意が、会場いっぱいに広がりました。
今後の「コスパ」コミュニティや、佐賀のコスメ産業の動きにぜひご注目ください!

関連記事