2024年7月10日、新規事業開発セミナー「Yomiivo」のDay3が開催されました。この最終回では、これまでの「心」や「技」のセッションに続き、「体」をテーマに、実践的な内容が展開されました。今回の焦点は、クラウドファンディングと事業計画の実行に向けたプレゼンテーションでした。
まずは、クラウドファンディングについての講義が行われました。クラウドファンディングは、単なる資金調達の手段ではなく、事業の社会的価値を確認し、支援者との関係を構築する重要なツールとして位置づけることができます。次に、参加者はそれぞれの事業プランを発表し、他の参加者や講師からフィードバックを受け、計画の最終調整を行いました。これにより、事業を具体的に進めるための最終ステップが踏まれました。
Day3 「体」:「思いつく人1万人、やってみる人100人、続ける人1人」
DAY3のテーマは「体現する」、すなわち「実行」です。セミナーの冒頭、講師の田中(株式会社トレジャーフット代表)は「これまでの学びをどのように具体的な行動に移すかが、成功への鍵である」と強調しました。特に「アイデアだけでは意味がない。思いつく人1万人、やってみる人100人、続ける人1人」という言葉を引用し、行動に移し、持続することの重要性を参加者に伝えました。
諦めずに続けることで、1万人に1人の存在になれる。この姿勢を持ち続けることが、成功への道です。講義では、クラウドファンディングの基本について説明しました。田中は、「クラウドファンディングは単なる資金調達の手段ではなく、事業の社会的な価値を確認し、支援者を巻き込むための重要なツールである」と述べています。
事業実現への第一歩:クラウドファンディングで支援者を巻き込む方法
クラウドファンディングは借金や返済の必要がなく、創業者が抱えるリスクを最小限に抑えながら資金を集めることができるため、ビジネスを始める際の大きな助けになります。
クラウドファンディングは単なる資金調達手段だけでなく、事業やプロジェクトに共感する人々を集め、彼らとのつながりを深めることができます。これにより、支援者との強いコミュニティを築き、長期的な事業の成功に繋げることができる点が大きな魅力です。
新しいプロダクトやサービスを開発する際、クラウドファンディングはマーケットテストの場にもなります。支援者の反応を通じて、事業の可能性や需要を確認でき、さらに改良を加えて成功に近づけることができます。
成功するクラウドファンディングのための3つのポイント
クラウドファンディングは一つの手段ですが、成功するために必要なことを3つのポイントで紹介しました。
「共感を生むストーリー作り」
プロジェクトの背景や目的を明確にし、支援者が共感できるストーリーを作り上げることが重要です。
例えば、ある日本のベビー用品ブランドが「家族の絆を強める」をテーマにクラウドファンディングを行い、育児に役立つ商品を開発する過程を丁寧に共有しました。このストーリーに共感した多くの親がプロジェクトを支援し、最終的に目標額の150%を達成しました。
「効果的なリターンの設計」
クラウドファンディングのリターン設計では、コストを抑えつつ魅力的なリターンを提供することが重要です。リターンが支援者にとって十分な価値を提供しながらも、プロジェクト側が無理のない範囲で運営できるような設計が求められます。
リターン設計の具体例として、講義では「オリジナルビールを提供する」や「店舗の壁を一緒に塗る権利」など、体験型やユニークなアイデアが挙げられました。
これにより、支援者がプロジェクトにより深く関わる機会が提供され、高額な支援が得られる可能性が高まります。適切なリターンの設計ができると、支援者に喜ばれるだけでなく、プロジェクト側も利益をしっかり確保できるようになります。
「広報活動」
クラウドファンディングの成功には、SNSや既存のネットワークを活用してプロジェクトを広く拡散し、多くの支援者を集めることが不可欠です。ウェブ上でのページ公開はもちろん、SNSを活用したテストマーケティングも有効な手段として取り上げられ、プロジェクトの反応を事前に確認することで、改善点や調整すべき点を見つけ、成功の可能性を高めることができます。
さらに、SNSを通じて支援者とのつながりを深める重要性も強調されました。実際、多くの企業やプロジェクトがこの方法を利用して広範囲にプロジェクトを周知し、支援者を増やして目標額を達成することに成功しています。
現実的なビジネス計画への道:リソース不足を見極めるフィードバック
講義後、各参加者は7分間のプレゼンテーションで事業計画を発表しました。内容は事業概要、ターゲット市場、収益モデル、セミナーで得た学びをどう行動に移すかに焦点が当てられました。
ここでも、特に重要視されたポイントを3つ紹介します。
まずは、事業計画の実現性です。事業計画が実現可能かどうか、またその実行に必要なリソース(資金、人材、設備、時間等)が適切に見積もられているかが評価されました。
具体的には、ある参加者が展開した地域密着型ビジネスに対して、どれだけの初期投資が必要か、そして現地の協力者をどのように確保するかについて議論されました。
フィードバックでは、京急電鉄より、再開発が進む中、地元企業や行政との協力がビジネスの成功を後押しする可能性があります。また、地域との連携を強化することで、ビジネスチャンスが増大することが示唆されました。
次に、ターゲット市場の明確さです。対象顧客層が具体的か、またそのニーズに適切に対応する戦略が立てられているかが検討されました。
例えば、若者向けのファッションビジネスを提案した参加者には、ターゲットとする年齢層や地域の特性に基づいたマーケティング戦略の見直しが伝えられました。特に、現代の若者が重視する「SNSでの口コミ効果」や「サステナビリティへの関心」に対応したアプローチが有効であるとの指摘がありました。
このフィードバックは、参加者にとってターゲット市場のニーズを深く理解するきっかけとなり、事業プランの精度向上につながりました。
最後に、資金調達の計画です。クラウドファンディングや他の資金調達手段について、計画の現実性が議論されました。
ある参加者が提案したアート関連のプロジェクトに対しては、リターンの設計が支援者にとって魅力的かどうか、またSNSを活用して広報活動をどのように展開すべきかなどです。特に、クラウドファンディングで目標額に到達するための「初期支援者」の重要性が強調され、資金調達を成功させるための詳細な戦略が共有されました。
次なる挑戦へのスタートライン、「未来に向けたビジネスの展望」
最終日は「心」「技」「体」の総仕上げとして、参加者が事業計画を実現するための重要なステップとなりました。田中は「これからが本当のスタートだ」と述べ、ビジネスの課題に諦めず挑戦し続けてほしいと締め括りました。