イベントレポート:\屋久島を語る会 #2/ オンライン焼酎酒蔵見学 〜稀少な本格焼酎を造り続ける「屋久島伝承蔵」とは?〜


2021年12月8日(水) に屋久島町役場主催(協力:株式会社トレジャーフット)ふるさと納税PRトークイベント「 \屋久島を語る会 #2/ オンライン焼酎酒蔵見学 〜稀少な本格焼酎を造り続ける「屋久島伝承蔵」とは?~」を開催いたしました。

屋久島町に興味関心をお持ちの皆様・屋久島ファンの皆様と、屋久島町の産業を支える地域の方々・屋久島町役場がつながり、屋久島町の魅力を体感し交流するオンラインイベントです。
今回の記事では、2回目となる屋久島町のふるさと納税PRイベントである当日の様子をお伝えしていきます。



■今回のイベントゲストプロフィール

屋久島町観光まちづくり課 地域振興係長
田口 剛様
屋久島町出身。2002年4月旧屋久町役場に入庁。2007年10月の市町村合併以降、屋久島町役場で財政係や監査委員事務局などを担当。2019年5月から地域振興係長として人口減少対策やふるさと納税、集落の活性化に取り組んでいる。屋久島町の関係人口としてのステップを1つ進めてもらえるような取組ができればいいなと思っています。

本坊酒造 屋久島伝承蔵の所長
田中 智彦様
鹿児島県出身。入社17年目、屋久島伝承蔵勤務2年目。屋久島に来る前は、商品開発を担当していました。屋久島の魅力である水や自然環境を最大限生かした商品造りにこだわり、独自の価値を生み出す酒造りを目指しています。

■屋久島を語る会とは?

屋久島町は、樹齢数千年の屋久杉をはじめとする特殊な森林植生や、亜熱帯から冷温帯に及ぶ植生分布など、貴重な自然環境・自然資源が世界的に評価を受け、1993年に日本初の世界自然遺産登録、2005年にラムサール条約登録湿地、2016年に屋久島・口永良部島ユネスコエコパークとして拡張登録されるなど、豊かな自然環境を持つユネスコ3冠の町です。そんな屋久島町では、多様で豊饒な自然の価値を損なうことなく将来に引き継ぐという、この大きな役割を果たすために、屋久島を縁にした知恵と力の結集が必要です。

そこで今回は、屋久島町に興味関心をお持ちの皆様・屋久島ファンの皆様と、屋久島町の産業を支える地域の方々・屋久島町役場がつながり、屋久島町の魅力を体感し交流するオンラインイベントを開催することになりました。

第2回目となる今回のゲストは明治5年創業、地域の資源を活用し、地域に根差したお酒造りに取り組んでいる本坊酒造株式会社の田中智彦さん。本坊酒造では、1960年に屋久島にて焼酎造りを開始。伝統的な手造り甕壷仕込みにこだわり、手造り麹、100年以上に渡り受け継がれてきた古甕で仕込みを続けています。今回のイベントでは、田中さんによる「オンライン酒蔵見学」や、お酒造りに込めた想いなど、お話も伺っていきます。

一つ一つ丁寧に“本物の伝承”にこだわる製品作りの歴史や、そこに込めた想いを聞きながら、「屋久島町の魅力や可能性」に触れ、観光やふるさと納税の寄附者から一歩踏み込み、一緒に屋久島町の未来を考えたい、そんな思いからこのイベントは始まります。

■まずは屋久島町を知る





イベントでは、まず最初に屋久島町役場の田口さんから「屋久島町ってどんなところ?」というテーマでお話をいただきました。

鹿児島市から南方約135km、1ヶ月に35日雨が降ると言われる水の島「屋久島」と火山が育む大自然が残る島「口永良部島」からなる屋久島町。実は島の21%が世界自然遺産登録エリアとなっている屋久島は、その広大な自然により多様な生態系が織りなされています。




屋久島には九州の高い山ランキングのうち、上位8位までの山がすべて存在しています。
その山々が標高約2000メートル級の高山を含んでいるため、山の麓(山裾)、中腹、山頂周辺で気候や生息している動植物がそれぞれ異なっているのです。
具体的には麓(山裾)では九州・沖縄のような暖かい地域の植生が、山頂にいくにつれて北海道のような寒い地域の植生を見ることができます。屋久島の山間部だけで日本列島を北から南まで縦断できるような気候が体感できると思うと、自然の神秘に驚かされますね。

こういった珍しい生育帯が世界自然遺産登録の根拠となる生態系面の評価につながっています。

そして、冒頭でも記述した通り、屋久島は雨の島とも称されるほど、降水量が多い島です。
その頻度は「1ヶ月のうち35日雨が降っている」(林芙美子『浮雲』)と例えられるほど。
この天気は島全体が雨ばかりというよりも、島の東部は雨が多く、南西部は少ない。山頂に向かうほど雨が多いという特徴があるようです。この雨はあたたかい黒潮の水蒸気が屋久島の高い山々によって冷やされて降っていると言われ、これらの雨が屋久島の美しい自然をさらに発展させているのでしょう。

そんな屋久島は海だけでなく、川も美しい島としてその名を馳せています。前述した通り、山々が連なる屋久島では標高差が大きいことから、1本の川に多くの滝があり、屋久島の電気はその高低差と豊富な水量を活かした水力発電でそのほとんどをまかなっています。

自然との共存により、さらに美しい風景を楽しむことのできる島。

それこそが田口さんの教えてくださった屋久島の大いなる魅力ではないでしょうか。

オンライン酒蔵見学スタート!

田口さんによる屋久島の紹介後はいよいよ、オンライン酒蔵見学です。



日本酒、焼酎、ビール、ウイスキーなどお酒にも様々種類がありますが、今回見学するのは焼酎の酒蔵です。
屋久島伝承蔵では、麹から手造りをしており、水は屋久島の超軟水を使用。100年以上に渡り受け継がれてきた古甕での発酵を行っている伝統を重んじた焼酎造りを行っています。

そもそも焼酎は、蒸留の技術が14世紀以降にタイから琉球へ伝えられた事をきっかけに始まったとされています。
室町時代の1559年に「神社の神主がケチで一度も焼酎を飲ませてくれなかった」と書かれた棟木札(むねきふだ)(鹿児島県大口市にある郡山 八幡神社)が発見されている事から、この時代に焼酎が人々の生活に定着していたといえます。

ただし、当時の焼酎は米焼酎が主流であり、様々な原料の焼酎が造られるようになったのは、江戸時代からといえるでしょう。
江戸時代は、米が年貢の対象として大変貴重なもので、焼酎造りに利用することが難しかったため、当時の人たちは苦労を重ね、芋や麦など様々な原料を用いた焼酎を造りました。これが現在の焼酎の基盤になっていったのです。

現在、屋久島で製造されている焼酎はサツマイモを使用した芋焼酎です。
お酒ごとに使われるお芋の品種も変わってきますが、造り方は共通しています。

まずは麹室で麹を造ります。



屋久島伝承蔵ではサツマイモを使用した芋焼酎を作っていますが、使用する麴は日本酒と同じくお米を使用します。
麹は、蒸したお米に麹菌をまぶし、約2日間で麹菌を生育していきます。麹菌が作り出す酵素には、米やさつまいものデンプンを糖に分解する働きがあります。この時、麹室は室温30度、湿度が50%程度という蒸し暑い環境に。麴菌はカビの一種であるため、気温と湿度の調整が重要だそう。
気温が低いときはお米をぎゅっとまとめて温かく、気温が高いときはお米をバラバラと広げて丁度よく。
麹菌にとって過ごしやすい環境づくりは醸造の工程において非常に重要ですが、屋久島伝承蔵では人の手で行われているんだとか!

こうして出来上がった麹は、古甕の中でお水・焼酎酵母と合わせた一次発酵が行われます。
この甕壷、どうして地中に埋まっているかご存じですか?

それは、外気温差による影響を最小限に抑えるため。明治期に作られたこの甕壷は、時に修復をしながら大切に使われています。
この甕壷はすべて国産ですが、今はもう日本で製造されていません。
それでもこの甕壷が焼酎造りに使われているのは、タンク仕込みでは出せない独特の風味が出るから。



普段何気なく買う焼酎も、こうやって手間暇かかっていると思うと、大切に飲みたいと思いますね。

こうして、古甕を使って5日間かけて発酵したものは「一次醪(いちじもろみ)」と呼ばれます。
この醪は古甕から一度タンクに移され、続く工程を待つことになります。

ここからはサツマイモの出番です!

原料となる芋は、泥や汚れを洗いながら芋の両端を切り落とし、さらに傷んでいるものや変色、虫食い部分などを手作業で削り取ります。芋は傷ついた部分があると、そこから抗菌性のある物質を分泌し、焼酎の劣化臭である芋傷み臭の原因に!

大変ですが、おいしい芋焼酎には欠かせない大事な作業です。

ここでカットされたお芋は機械で蒸して砕いていきます。



細かくなったお芋は一次醪と混ぜ合わされ発酵が進んでいきます。既に酵母がたくさんいる状態のため、お芋と混ざってからわずか2~3時間で発酵が始まります。1日発酵させた醪は、再び甕壷へ。ここから8日間発酵させることで、お芋の香り成分やアルコールが精製されていくそう。この時点でアルコール度数は14%程度なんだとか。

ここからは焼酎ならではの工程です。
皆さんが良く知る日本酒と焼酎の明確な違いは、もっとも基本である造り方にあります。製造方法で分類すると、日本酒は「醸造酒」、焼酎は「蒸留酒」というカテゴリーに入ることはご存じですか?
そして「醸造酒」と「蒸留酒」の違いとは、いったい何でしょうか?

「醸造酒」とは、穀物や果物を酵母の力でアルコール発酵させたお酒のことです。

お酒は、原料から取り出した糖分をアルコール発酵させることで造られます。たとえば、ワインは原料であるブドウに含まれる糖分をアルコール発酵させたお酒ですね。日本酒は少し特殊で、原料である米に糖分が含まれていないので、デンプンを糖化させてからアルコール発酵を進めていくという工程です。

そして「蒸留酒」とは、醸造酒を"蒸留"させたお酒です。



"蒸留"とは、液体を蒸発させてできた気体を冷やして、再び液体に戻す作業のこと。蒸発する温度の違いを利用することで、純度の高い液体を取り出せるのです。

醸造酒には水とアルコールが混ざっているので、温度を上げていくと、蒸発する温度の低いアルコールが先に蒸発します。つまり、醸造酒を蒸留することで、アルコール純度がさらに高いお酒になるのです。

焼酎製造の工程における蒸留は二次もろみを沸騰させ、アルコールの蒸気を冷却して、旨味が凝縮した焼酎を取り出す工程です。
アルコールが含まれるため沸騰した際は90度程度。この蒸気は冷やされて液体となります。これが焼酎の原酒です。4時間かけて蒸留された原酒は、蒸留開始直後アルコール分が高い濃度を持っています。しかし、徐々に度数が下がり、最終的にアルコール分約37%の芋焼酎ができあがります。この中には、焼酎の風味のもととなる高級脂肪酸などの微量成分が数百種類含まれ、これらの相互作用により芋焼酎の深い味わいが醸し出されます。

そこから、熟成の工程に移ります。

熟成は蒸留したての荒々しい酒質を、長い期間をかけて落ち着かせ、まるみを持たせるための工程です。熟成期間をおくことで、「あまみ」「うまみ」「まるみ」のバランスを整えます。熟成方法や期間は、もちろん各商品によって異なりますが、屋久島伝承蔵では半年から1年の期間を要します。

こうして貴重な製造方法で造られた焼酎は屋久島内、島外に関わらず人気を博しています。

■最後は交流会

イベントの最後は参加者全員が2グループに分かれて交流会の時間です!田口さん、田中さんとそれぞれお話する機会があるため屋久島の話や、焼酎の話、それぞれで盛り上がる内容でした。

この交流会、前回に引き続き意外な新発見がありました!
それが「屋久島は案外寒い」ということ。
日本列島でも南に位置する屋久島、暖かい気候ではないかと思う方も多いかと思います。しかし、田口さんによると意外と寒い日もあるんだとか。平地に雪が降ることはほとんど無いようですが、高地に雪がかかることは案外あるそう。地元に住んでいるからこそのお話には毎回「あっ」と驚くものがありますね。

また、田中さんとの交流会ではその場で屋久島伝承蔵のお酒を買い始める猛者も登場し、オンライン見学の楽しさが伝わる会でした。
さらに参加者さんには焼酎マイスターの資格を持った方がいらっしゃり、田中さんが驚く一場面も!
焼酎は奥深く、まだまだ知らないことがたくさんあることを知った時間でした。

焼酎のお話や、屋久島の観光についてお話をしていくと時間はあっという間。
参加者全員、新発見や新しい視点での意見交換など心躍る時間になりました。

■まとめ

コロナ禍で、なかなか遠方へ旅行にいくことが難しい時勢が続いています。
こういった状況下だからこそ、オンラインで楽しめる酒蔵見学を通じて、更に屋久島を深く知り、新たな印象、新たな発見が生まれる時間となりました。

まだまだ盛り上がる「屋久島を語る会」。次回も素敵なゲストをお迎えしてお話を聞いてまいります!

また屋久島町では、屋久島の様子を紹介するSNSやふるさと納税の特設サイトなどをご用意してるのでご興味のある方はぜひ一度ご確認ください!

▼屋久島町公式HP
http://www.town.yakushima.kagoshima.jp/

▼屋久島町公式インスタグラム
https://www.instagram.com/yakushima_official/

▼屋久島町公式Youtube
https://www.youtube.com/channel/UCLg8ZCZO8g-D7pJx4albjSQ

▼屋久島町ふるさと納税特設サイト
https://yakushima-furusato.jp/

そして、トレジャーフットでは、イベント以外にも「地場産業の発展に貢献する」というミッションのもと、地場産業と複業希望者のマッチングを推進しています。私たちと一緒に地場産業のさらなる発展を目指してくださる方を募集中です!

あなたのスキルを地場産業のために活かしませんか?
ご興味ある方はこちらからご登録ください!


小橋 りさ

小橋 りさ

岡山県出身。大学卒業後、地元の最大手企業に就職。配属3日目で新規事業の企画を立案し、様々な新規事業に携わる。地元での声優イベント開催や、県下最大級となるコワーキングスペースを立ち上げる。結婚を機に退職し山口県へ拠点を移す。トレジャーフットに出会い、現在は社内初となるフルリモートスタッフとして、日々奮闘している。

関連記事