2025年1月27日に開催された「MYOKO MEET UP#04」では、新潟県妙高市での起業・創業をテーマに、地域の可能性を探るトークセッションとワークショップが行われました。妙高市での開業を目指す竹田ゆきなさんをゲストに迎え、地域での挑戦やコミュニティとの関わりについて議論が交わされました。司会は、株式会社はじまり日和代表取締役であり、株式会社トレジャーフット ブリック事業部統括プロデューサーの柴田大輔が務めました。
ゲストスピーカー:竹田ゆきなさん
妙高で起業創業を楽しむ、まちに開いた新しい拠り所
竹田ゆきなさんは1996年、新潟県妙高市生まれです。幼い頃から料理に興味を持ち、初めての誕生日プレゼントが「マイ包丁」だったほど、食への関心が強かったそうです。祖母が営む旅館の台所が遊び場となり、そこで料理の楽しさを学びました。大学進学後は一度別の道を考えましたが、アルバイトを通じて再び料理の魅力に惹かれ、食への情熱を再確認しました。飲食業界で経験を積んだ後、現在は地元・妙高市で「台所micchi」というお店のオープンに向けて準備を進めています。
妙高だからこそ生まれる挑戦のかたち
「妙高は何もないからこそ、何かを始めるには最適な場所」と竹田さんは語ります。都会ではすでに多くのビジネスがひしめき合い、新たに挑戦するには競争が激しく、独自性を打ち出すことが難しいのが現実です。しかし、妙高のような発展途上の地域では、ゼロから自由にアイデアを形にし、自分らしいビジネスを築きやすいと感じているそうです。
また、近年は海外からの移住者が増え、地域の人々も新しい文化やアイデアを柔軟に受け入れるようになっています。外部の視点が加わることで新たな価値が生まれ、地域の魅力を活かしたビジネスが発展しやすい環境が整いつつあると実感していると言います。都会と地方では、働き方や生活スタイルが大きく異なり、妙高では自分のペースで働くことができます。都会では家賃や経費の負担が大きく、忙しく営業しなければなりません。しかし、妙高ではコストを抑えながら、仕事と生活のバランスを大切にできる環境があります。
地域の人々とのつながりを築きながら、じっくりとお店を育てていける点も大きな魅力だそうです。
「台所micchi」が目指すもの
「台所micchi」を単なる飲食店ではなく、地域の食文化を守り、発信する拠点にしたいと考えています。妙高産の野菜や発酵食品を活かし、その土地ならではの味を提供することで、訪れる人に妙高の食の魅力を伝えていきたいと考えています。また、昔ながらの漬物や味噌づくりといった伝統的な食文化を学び、それを次の世代へつなげることにも力を入れています。
「おばあちゃんの知恵や手仕事を次の世代へ伝えていくことも、地域に根ざしたお店として大切な役割のひとつです」さらに、旅行と食を結びつけた体験型の企画にも関心を寄せています。例えば、地元の農家と連携し、収穫体験を実施したり、訪れた人が妙高の食文化を直接体験できるイベントを開催したりすることも考えています。
「妙高の豊かな食文化を、もっと多くの人に知ってもらいたい。そして、この土地ならではの味を未来へつなげたい」妙高の食材や文化を大切にしながら、訪れる人に特別な体験を提供する「台所micchi」。その未来がどのように広がっていくのか、今後の展開がとても楽しみです。
妙高と繋がる、ゲストにアイデアを提案するワークショップ
テーマ:「街の拠り所として、どんな機能やイベントがあると訪れてみたくなるか?」
イベントの後半では、「妙高のまちに開かれた新しい拠り所」について考えるワークショップが行われました。テーマは、「街の拠り所として、どんな機能やイベントがあると訪れてみたくなるか?」というものです。まずは個人でアイデアを考える時間が設けられ、次に、グループごとにアイデアを発表し、互いに意見を交わしました。
食文化を通じた体験の場づくり
あるグループでは、「妙高の豊かな自然を活かし、山菜やジビエを使った料理体験イベントを開催する」というアイデアが出ました。地元の食材を収穫し、それを料理して味わうことで、妙高の食文化を体験できる場を作るという提案です。
また、「ローカルフードフェスを開催し、妙高の伝統的な料理をおばあちゃんたちが教えるワークショップを開くのも面白いのでは?」という意見もあり、地域の食文化を次世代に伝える試みとして話が弾みました。
地域と関わる仕組みづくり
「妙高でワーケーションをしながら地域と関わる仕組みを作る」というアイデアも注目を集めました。地域外から訪れた人が、地元のカフェや飲食店で短期間働きながら妙高の暮らしを体験するというものです。滞在者にとっては旅をしながら収入を得る機会になり、地域にとっても新たなつながりが生まれる可能性があります。また、短期滞在者がワークショップを開いたり、地域のイベントに参画したりする「交流プログラム」を設けることで、外部の視点を活かしながら新しいアイデアを実現しやすくする仕組みづくりも議論されました。
新しい飲食店とコミュニティの可能性
飲食店やコミュニティスペースの活用についても、多くのアイデアが出されました。「曜日ごとに異なるオーナーが店を運営する「日替わり店長カフェ」を作ることで、新しいチャレンジを支援できるのでは?」という提案があり、飲食店の経営に興味がある人が気軽に挑戦できる場を作る可能性が議論されました。また、「シェアキッチン」を活用し、地域の人が自由に料理をふるまえる場を設けるアイデアも出されました。これにより、地元の食文化を発信する機会が増え、週末だけ営業するレストランや、季節ごとの食材を使った限定メニューを提供するポップアップレストランとしての活用も期待できます。
さらに、多様な人々がそれぞれの得意分野で関わる仕組みとして「コミュニティオーナー制度」の導入も提案されました。この制度により、拠り所の運営が特定の個人に依存せず、多くの人の協力によって持続的に成長できる環境が生まれます。また、イベントの企画や運営を分担することで、地域の活性化にもつながるのではないかと考えられました。
ワークショップを終えて:妙高の未来への第一歩
ワークショップを通じて、参加者それぞれが妙高の魅力を再発見しながら、新しい可能性を探る時間となりました。地域の自然や文化、食を活かしながら、より多くの人が訪れ、つながる場を作るにはどうしたらよいか。その問いに対する多様な視点が集まり、今後の実現に向けた大きな一歩となる貴重なセッションとなりました。
この場で生まれたアイデアがどのように形になっていくのか、今後の展開が楽しみです。