はじめに
2024年8月30日、佐賀県主催の「SAGA Smart Terakoya」シリーズにおいて、「第2回 未経験でもできる売れる商品の作り方」セミナーがオンラインで開催されました。本セミナーは、前回の「第1回 新しい働き方入門〜理想の人生・働き方の言語化〜」に引き続き、新しい働き方の普及を目的とした連続企画の一環です。
講師は、株式会社トレジャーフット代表取締役の田中祐樹氏。田中氏は、これまで多くのフリーランスや複業家を支援してきた経験を基に、スキルの商品化とフリーランスとして成功するための具体的なアドバイスを提供しました。
第一部:掛け算で商品の種を作る
「掛け算で商品の種を作る」という考え方は、単一のスキルに固執せず、異なるスキルを組み合わせて独自の商品を生み出す方法です。
多くの人が「自分にはスキルがない」と思い込んでいますが、田中氏はこれをチャレンジへの大きな障壁だと指摘します。
実際には「スキルがない」のではなく、単に「未経験」であることが多いからです。新しい挑戦に伴う不安が「スキル不足」と感じさせることもありますが、田中氏はその不安を乗り越え、既存のスキルや興味を掛け合わせることで、他にない価値を生み出せると説きます。
特に、田中氏が提唱する「TTP(徹底的にパクる)」戦略は、他者の成功事例を真似るだけでなく、それを自分の強みと掛け合わせることで独自性を持たせる方法です。例えば、Webマーケティングに強い人が、趣味のバスケットボールや地域の特性を活かして、地元プロバスケットチームのマーケティングやイベント企画に取り組むケースが紹介されました。
このプロセスでは、他の成功しているプロバスケットチームや地域イベントを観察し、その知見を応用しつつ、独自のアイデアを加えることで、競争の少ない「ニッチ市場」への参入を果たしました。
このように、スキルや興味を活かしながら新しい市場を開拓し、ビジネスチャンスを広げる方法が示されました。
35項目の「スキルシート」を使おう
ワークショップでは、参加者が自分のキャリアやスキルを組み合わせて新しい商品やサービスのアイデアを考える機会が提供されました。
参加者はまず「フリーランスレベルチェック」で自己評価を行い、スキルや経験を客観的に把握します。次に、35項目の「スキルシート」を使い、スキルや興味、過去の経験を自己評価し、自分の強みや興味を深掘りしました。
その結果を基に「フローティングシート」を作成し、スキルや特技、興味のある分野をリストアップして、どのような組み合わせでビジネスを展開できるかを明確にしました。
第二部:売れる商品を設計する
田中氏は、売れる商品を設計するには、価格設定と業務範囲の明確化が重要だと述べています。
特に、フリーランスとして成功するためには「時給2500円以上のサービスを提供すること」が大切だと強調しました。安価な仕事は短期的には収入を得やすいものの、長期的にはビジネスの成長を阻害するリスクがあると指摘しています。
また、「帯で細く長く受ける」という方法も提案しています。単発の仕事を次々とこなす代わりに、長期契約を結び安定した収入を得ることで、新たなスキル習得や他のクライアントとの関係構築に余裕が生まれるからです。
気を付けたいのは、業務範囲を明確にすることです。クライアントとの契約段階で、やるべき業務とやらない業務をはっきりさせ、追加の依頼があれば追加料金を提示することで、自分の負担を適切にコントロールできるようになります。
ビジネスモデルをシュミレーションせよ
ワークショップでは、参加者が自分のスキルや経験をもとに売れる商品やサービスの設計に取り組むセッションが行われました。
焦点となったのは、商品の価値を見極める方法、適切な価格設定、そしてサービスの提供範囲を明確にすることです。参加者はテンプレートやワークシートを用いて、自分の提供するサービスの価格帯や業務範囲を設定し、具体的なビジネスモデルをシミュレーションしました。特に、長期契約を念頭に置いたビジネスモデルが提案され、単発の仕事に依存せず、安定した収益を上げるためのアイデアが出されました。
参加者は、自分のアイデアをグループ内で共有し、フィードバックをもとにさらに洗練させることで、実現可能な形に仕上げていきました。
ワークショップで得た新たな視点
ワークショップ終了後、参加者からは「新しい視点を得た」「自分のスキルを掛け合わせることで新しいビジネスアイデアが生まれた」といったフィードバックが寄せられました。
ある参加者は、自分の考え方が偏っていたことに気づき、他の参加者からのアドバイスを通じて「こうした組み合わせで進めると良い」との提案を受け、新たな視点が開けたと語っています。また、別の参加者は、自分では思いつかなかったビジネス展開のアイデアを他者から得ることで、サービスの可能性がさらに広がったと述べました。
このように、ワークショップを通じて多くの参加者がスキルの掛け合わせの重要性や新しい視点を得ることで、より具体的で実践的なビジネスアイデアを発展させることができたようです。