【イベントレポート】Yomiivo(Yokosuka Miura Innovation Voyage) 新規事業開発セミナー -成功したければ砂漠で水を売れ!? 選ばれるサービスの作り方-

2024年7月3日、新規事業開発セミナー「Yomiivo」のDay2が開催されました。本セミナーは、横須賀市と三浦市、そして京急電鉄が共催し、地元事業者や創業予定者、新規事業を検討している方々を対象に、成功する新規事業の基盤作りを目的とした全3回のプログラムの第2回目となります。
DAY2のテーマは「技」、参加者に具体的なビジネススキルや戦略の構築方法を学ぶ機会が提供されました。

Day2「技」: 砂漠で水を売れ!ビジネスを成長させる戦略と実践力が成功のカギ

今回のセミナーでは、前回の「心」に続き、「技」を習得することがテーマでした。セッションは約3時間にわたり、参加者たちは 資金調達の基礎、財務計画の立て方、そして具体的なビジネスプランの構築方法 を学びました。

まず 資金調達の基本 について、講師の田中(株式会社トレジャーフット代表)は、「資金調達には デット(借入) と エクイティ(株式) の2種類がある」と説明し、それぞれの メリットとデメリット について詳しく解説しました。特に、中小企業やスタートアップでは、初期段階での デット(借入)による資金調達が主流であり、そのリスク管理が重要であることを示しました。また、政策金融機関や信用金庫を活用した具体的な事例も紹介され、参加者たちは、最適な資金調達方法を模索するための知識を深めました。

田中は、「良い時に資金(お金)を借りておくことが重要」と述べ、 資金調達のタイミング を見誤らないことの大切さを強調しました。これは、ビジネスの健全な成長を支えるために、 適切な資金確保が不可欠であるという現実的な指摘でした。財務管理がしっかりしていないと、どれだけ素晴らしいアイデアや製品を持っていても、ビジネスは長く続かないと言います。

事業成功のための核心メッセージ(戦略、ニーズ、財務)

1.「戦略がなければ成功は遠い。具体的な手法を持つことで道が開ける」

田中は、 戦略的な計画と実行力がビジネス成功において非常に重要であると強調します。新規事業を始める際、 明確なビジネスモデルと市場の理解がなければ、多くのリスクに直面する可能性が高まります。

例えば、ある会社が新商品を開発する際、市場調査を怠った結果、期待していた顧客層に受け入れられなかった事例を紹介しました。製品のアイデアに自信を持っていたものの、顧客のニーズや市場の動向を十分に把握していなかったため、売り上げが伸び悩んだのです。

このような失敗を防ぐためには、 事前に市場を理解し、顧客のニーズを正確に把握することが不可欠です。その後、この会社は 顧客からのフィードバックを基に製品を改良し、最終的には成功を収めることができました。継続的な検証と改善がビジネスにおいて欠かせないプロセスであることが示された例です。

2.「砂漠で水を売れ!顧客のニーズを捉え、最適なタイミングで提案することが成功のカギ」

ビジネスにおいて、タイミングと市場のニーズを的確に捉えることが重要だと田中は言います。「 砂漠で水を売れ! 」という表現を使い、需要が高い場所に、適切な商品を、最適なタイミングで提供することの重要性を強調しました。砂漠のように水が最も必要とされる環境で水を提供することが、成功の秘訣だと言います。つまり、製品やサービスを作る前の段階で顧客のニーズを確認し、それに基づいた解決策(製品やサービス)を素早く提示すること。このように顧客を確保した後に商品やサービスを提供することで、無駄な在庫を抱えるリスクを減らし、ビジネスを成功に導くことができると力説しました。

3.「財務計画がビジネスの土台、成功を支える資金管理(金)の重要性」

どれだけ優れたアイデアや製品があったとしても、資金計画が甘ければビジネスは長く続かない。「健全な財務管理が成功の鍵である」と指摘します。起業家は、 キャッシュフロー(お金の流れ)や利益率を正確に把握する必要があると言います。

例えば、新規事業を立ち上げる際、利益が出るまでには時間がかかることが多くあります。そのため、 事前に十分な資金を確保することが必要です。特に、初期投資が必要なプロジェクトでは、最初にしっかりとした資金を確保することで、 ビジネスの安定性が増すだけでなく、起業家自身のメンタルも安定し、安心してスタートを切ることができます。適切な資金管理が、事業運営だけでなく、精神的な安定にもつながることを重要視しました。

選ばれるビジネスを創り上げる::実践的なワーク

このセッションでは、ビジネスプランを構築するための実践的な手法として「徹底的にパクる(TTP)」という戦略が紹介されました。これは、既存の成功したビジネスモデルやアイデアを徹底的に真似ることで、リスクを減らし、ビジネスの成功確率を大きく高める手法です。すでに実証済みの戦略を活用するため、より効果的にビジネスを成功に導くことができます。

TTP(徹底的にパクる)戦略のメリットは、2つあります。まず、成功事例を模倣することにより、リスク軽減が可能であることです。次に、TTPにオリジナルの価値を加えることで、単なる模倣ではなく独自のビジネスとして差別化することが可能となる。

セッションの後半では、参加者が自分のビジネスアイデアを実際に形にするためのワークショップが行われました。具体的には、次のようなプロセスで進められました。

  1. ターゲット顧客の明確化::まず、自分のビジネスモデルにおいて、どのような顧客層をターゲットにするかを明確にしました。田中は「ただアイデアを形にするだけでなく、どの顧客層に向けてサービスを展開するかを正確に把握することが大切」と強調しました。

  2. 競合分析の実施::次に、競合他社のビジネスモデルや戦略を分析しました。これは、自分のアイデアが市場でどのようなポジションに位置するかを理解し、改善点を見つけることが目的でした。

  3. ビジネスの数値化::参加者は、ビジネスの成功を具体的な数値で考えました。まず、収益計画を立て、どれくらいの売上や利益が必要かを明確にしました。次に、ターゲット市場の規模を把握し、どれだけの顧客にアプローチすれば良いかを計算し、さらに、顧客に提供する価値を考え、その価値がいくらで販売できるかを検討しました。これにより、アイデアが現実的なビジネスプランになりました。

次回はいよいよ最終回、「心・技・体の集大成:事業計画の実行プレゼンテーション」

これまで学んだ「心」と「技」を基盤に、具体的なビジネスの展開と成長戦略(体)に焦点が当てられる最終回のDay3。参加者たちは、ビジネスプランをさらにブラッシュアップし、具体的な行動計画を作成することとなります。次回のレポートもお楽しみください。

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