【イベントレポート】自治体の問いで遊んでみる!QWS Question Storming with 妙高市|SHIBUYA QWS

2024年7月19日、PLAY GROUND (SHIBUYA QWS) において、「自治体の問いで遊んでみる!QWS Question Storming」イベントが開催されました。このイベントは、新潟県妙高市の現状や未来について議論し、地域の発展に向けた創造的な問いを立てるために行われました。本記事では、イベントレポートの形で当日の様子を紹介します。

「もし、あなたが消滅可能性のある自治体の市長だったら」

テーマオーナーである妙高市市役所様より、イベントのテーマに関連する背景と現状の課題が説明されました。妙高市は新潟県に位置し、人口は約29,484人。近年は3万人を下回りました。妙高市は、スキー観光や豊かな自然資源に恵まれていますが、人口減少により「消滅可能性自治体」に選ばれるなど、持続可能性が危ぶまれています。こうした背景から、イベントのテーマは「もし、あなたが消滅可能性のある自治体の市長だったら」に設定されました。

まずは、「クエスチョンストーミング」を行いました。クエスチョンストーミングとは、参加者が自由に「問い」を提案し、その問いから新しい視点やアイデアを引き出す手法です。 このセッションでは、参加者たちが「市長を交換したらどうなるだろう?」「妙高市の人口減少を食い止めるためには何が必要か?」といった問いを提案しました。

次に、チームごとにテーマに基づいた問いを発展させ、創造的なアイデアを出し合い、具体的な解決策を見つけます。

参加者は割り当てられた番号で、三つのチームに分けられ、チームごとのテーブルに移動しました。そして、最初に提示された「問い」に対し、浮かんだ疑問や関連する新たな問いをポストイットに書き出していきます。このプロセスでは、元の問いをさらに深掘りし、新たな疑問を探求することに重点が置かれました。

その後、各メンバーがそれぞれの問いに対する解決策やアイデアを提案し、全員が少なくとも1つ以上のアイデアを出すことが求められました。出されたアイデアはホワイトボードに書き出され、チーム全体で共有されました。

最後に、各チームが絞り込んだ問いを全体に共有し、それに対して全参加者による投票が行われました。投票の結果、次のセッションでさらに議論を深めるべき問いが選ばれました。

チームごとの課題解決への挑戦:クエスチョンダイアログセッション

その後、「クエスチョンダイアログ」がおこなわれました。ここでは、各チームがクエスチョンボーディングで選ばれた問いに対して深く議論を行い、具体的な解決策を模索します。チーム1は市民の幸福感を高めるための要素を、チーム2は免許がなくても生活できるための交通インフラの整備を、チーム3は車に頼らない生活環境の整備を中心に議論しました。

その後、各チームが選んだ問いに対する議論の成果を全体で共有しました。

チーム1は、「妙高市民が幸せになるには?」という問いから、経済的豊かさだけでなく、地域のつながりや自然との調和が重要だと結論づけました。具体的には、コミュニティの強化や観光資源の開発が提案されました。

チーム2は、「免許がなくても生活できる地方」を目指し、交通インフラの充実が必要とされました。具体案として、公共交通の強化やデジタル技術を活用した移動サービスの導入が挙げられました。

チーム3は、「車がなくても生活が充実するには?」という問いに注目した結果、移住者や観光客だけでなく、現在住んでいる市民にとっても、移動手段が生活の重要な要素であるとの結論になりました。具体的には、コンパクトシティの推進が提案されましたが、同時に、住み慣れた場所での生活を維持するためには既存の移動手段を保つことが不可欠であると強調しました。

常識に囚われない「解の強制発想」とは?

議論が煮詰まりそうになると「解の強制発想」をつかいまいした。解の強制発想とは、通常の制約や常識にとらわれず、自由な発想を広げて新しいアイデアを生み出す手法です。この方法では、現実的な制約を一旦脇に置き、遊び心を持ちながら大胆で創造的な解決策を考えることを目指します。

この手法では、「もし自分がドラえもんの作者だったら」という仮定が使われました。これは、ドラえもんの「どこでもドア」や「タイムマシン」のように、現実では実現が難しい未来の道具を想像することで、発想を広げる狙いがあります。この仮定により、参加者たちは常識にとらわれない自由なアイデアを発想しやすくなります。

例えば、「車がなくても生活が充実するには?」という問いに対して、「もし自分がドラえもんの作者だったら、移動中に温泉や食事を楽しめる列車を作るかもしれない」というアイデアが出されました。このアイデアは、移動手段を単なる移動の手段としてではなく、生活そのものを楽しむ時間に変えるという新しい発想に繋がりました。

アイデアを次のステップへ:実現に向けた課題と期待される展望

各チームは、「解の強制発想」で生み出されたアイデアをさらに具体化して実行可能なプランに落とし込む作業を進めました。このプロセスでは、キャッチフレーズやイラストの作成、重要なポイントの整理、そして必要なリソースの確認を行いながら、各項目を専用のシートに記入しました。そして、各チームは、記入した専用シートを用い、自分たちの議論の成果を全体で共有しました。以下が各チームの成果です。

チーム1

問い:そもそもどうすれば妙高市民が幸せになるのか
アイデア:「食住ユートピア」というサービスを提案。自然豊かな環境で、仕事、生活、娯楽がすべて完結する理想的な都市を目指しました。特に、テレワークや新幹線通勤、地域での子育て支援に焦点が当てられ、都市部では体験できない生活の魅力が強調されました。リソースとしては、地域の観光業者やテレワーク関連企業の協力が考えられました。

チーム2

問い:物理的移動を超えられる都市とは
アイデア:「コンバス」という移動式サービスを提案。スナックバスやワーキングバス、保育園バスなど、生活に必要なサービスをバスで提供することで、移動の負担を軽減し、生活の質を向上させることを目指しました。リソースとしては、バス会社や地元企業、公共交通機関との連携が重要視されました。

チーム3

問い:車がなくても生活が充実するには
アイデア:「ゆうゆうタイム、妙に高まる電車」というサービスを提案。温泉列車を利用し、通勤や移動中に温泉を楽しむことができるという斬新な発想が注目を集めました。通勤時間をリラックスして過ごせるだけでなく、移動そのものを楽しむというコンセプトが多くの共感を得ました。特に「ゆうゆうタイム、妙に高まる」というキャッチフレーズや、温泉列車のイラストが印象的で、多くの参加者の関心を引きました。リソースとしては、鉄道会社、温泉施設運営者、観光関連企業の協力が想定され、実現に向けての課題と可能性が議論されました。

 

最後に、これらの全体発表を通して、各チームの斬新なアイデアが一層具体化され、実現へのステップが明確になりました。それぞれの発想は、地域の課題に対する新しいアプローチを提示し、妙高市が持つ自然や文化、リソースを最大限に活用した未来像を描いています。これからの一歩一歩が、住民の生活をより豊かにし、持続可能な都市づくりへとつながる日が待ち遠しいです。

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