【参加者レポート】SAGA Smart Terakoya 「第1回 新しい働き方入門〜理想の人生・働き方の言語化〜」

はじめに

2024年7月22日、佐賀県佐賀市にあるMAIC SAGAにて「第1回 新しい働き方入門〜理想の人生・働き方の言語化〜」セミナーが開催されました。このセミナーは、佐賀県(産業労働部 産業DX・スタートアップ推進グループ)が主催し、新しい働き方やリスキリングにより、IT人材の育成を目的としています。セミナー会場とZoomオンライン参加を合わせて20代から60代まで約60名が集まり、活気に満ちた雰囲気の中でイベントが開催されました。

セミナーの概要

セミナーは15時に始まり、主催者の挨拶に続いて各講師の紹介と自己紹介が行われました。主な講師は、株式会社トレジャーフット代表取締役の田中祐樹氏です。田中氏は、起業・複業、スモールビジネスの支援を通じて、多数のフリーランスと共に業務を経験してきました。田中氏はこの経験を基に、稼げるフリーランスとそうでないフリーランスの違いを詳細に分析し、その知見をまとめた著書『稼げるフリーランスの法則』を日本経済新聞社から出版しています。

第一部:「新しい働き方とリスキリング」

最初のセッションでは、「新しい働き方とリスキリング」というテーマで田中氏による講演が行われました。田中氏は、新しい働き方を実現するためには、「自分の現在地を把握すること」「なりたい自分を明確にすること」「リスキリングをすること」が重要であると強調しました。

具体的には、以下のポイントが示されました。

・越境的業務の意識: 自分の限界を知るために、日常の枠を超えた業務に挑戦し続けること。
・アンラーニング: 既存の知識やスキルを見直し、必要に応じてそれらを手放すことで新たな学びを促進すること。
・理想の未来から逆算: 理想の人生を具体的に描き、その理想を達成するためのステップを逆算すること。

ワークショップでは、参加者がまず現状を把握し、「なっていること(Be)」、「していること(Do)」、「手に入れているもの(Have)」を少なくとも10個以上書き出しました。その後、ペアを組み、お互いに書き出した付箋紙を使って総当たり選を行います。各ラウンドで一つずつ付箋紙を比較し、残った付箋紙がそのラウンドの1位となります。このプロセスを繰り返すことで、2位、3位と順に優先順位が高いものが決定されていきます。

​​このワークを通じて、参加者は自分自身の現状を再認識するだけでなく、当初は思いもしなかったものが実際には高い優先順位を持つことになることもあり、後に大きな収穫となることに気付かされました。

第二部:「新しい働き方に向けた自己分析」

その後、「新しい働き方に向けた自己分析」をテーマにしたセッションがワークショップ形式で行われました。参加者はまず、自身のモチベーショングラフを作成しました。このグラフでは、人生の中で特に重要な出来事や転機をプロットし、折れ線グラフのように結びつけます。その際、各プロットに対応する時期の人との出会いや経験、良かったこと・悪かったこと、強烈な体験などを振り返ります。

続いて、参加者はプロットした中からポジティブおよびネガティブな三大トピックスを抽出し、それぞれの出来事が起きた年代とその時期に抱いた感情を書き出しました。

ワークショップでは、新しいペアを組み、互いにモチベーショングラフと人生三大トピックスを共有します。聞き役の参加者は、相手の話を聞きながら「いいね!」や「〇〇を大事にしていそう!」といったフィードバックを付箋に書き出します。共有が終わった後は、聞き役が感じたことを付箋を使って伝え合いました。

このワークにより、参加者は自身の過去を振り返り、「自分らしさ」の種を再発見することができました。初対面の相手から受け取ったフィードバックは、新たなインスピレーションや次の仕事・アイデアの種となり、アンラーニングに繋がる貴重な時間となりました。

第三部:「起業・複業のマインドセット」

続いて、「起業・複業のマインドセット」に関するセッションが行われました。田中氏は、これまでに数百件の新規事業や起業、複業を見てきた経験から得た本質的な教訓を共有しました。最初に伝えられたのは、「絶対に諦めない」ということでした。

しかし、絶対に諦めない方法を教えることは難しいとしつつも、諦めにくくするための方法を二つ提案しました。それは、「楽しいか」と「孤独じゃないか」です。自分がワクワクすることや、楽しんでいることは第一部のワークで書き出した内容と繋がります。そして、第二部の自己開示を通じて繋がった仲間たちが、今後の支えとなります。

田中氏は、会社の同僚とはいずれ離れることもあるものの、この場で出会った仲間たちは次のステージで共に歩む仲間となる。この仲間たちを大切にし、孤独を感じない環境を築くことが、諦めないための大きな力になると述べられました。

副業の変遷とマインドセット

近年、「副業」から「複業」へと働き方が変わりつつあります。複業とは、専門知識や技術を活かし、複数の仕事に並行して取り組む働き方で、「パラレルキャリア」とも呼ばれます。ここでは、メイン/サブといった序列をつけずに、すべてを本業とする考え方が重視されます。

田中氏は、複業を通じて自身の理想像に挑戦することが幸福度を高めるとするデータを紹介しました。参加者には、このTerakoyaで福業(福楽を招く行為という仏教用語である”福業〈ふくごう〉”に由来する)を目指し、歩んでいってほしいとのメッセージが伝えられました。

関連記事