【プロジェクトレポート】佐賀県が目指す「スキルの地産地消」 SAGA Smart Terakoyaを始動!

①概要:SAGA Smart Terakoyaとは?

佐賀県では、これまで県内人材のIT・DXスキル向上を目指し、「佐賀県プログラミング人材育成事業(SAGA Smart Samurai)」や「佐賀県DX即戦力人材育成事業(SAGA Smart Ninja)」といった各種プログラムを展開しており、多数の成功事例を生み出しています。

この度、佐賀県内企業におけるDX推進のさらなる加速、さらにIT・DXスキルを習得した人材が、起業・副業などにチャレンジしやすい環境を構築するため「 IT人材起業・副業等活躍推進事業(SAGA Smart Terakoya)」を開始しました。

トレジャーフットは、「SAGA Smart Terakoya〜シゴトに繋げる企業複業支援塾〜」の企画・運営を担当しています。これまで5000人のフリーランスとともに地場産業の課題解決に取り組んで来た中で見えてきた「個人で価値を提供できる商品設計」や「稼げる人と稼げない人の違い」など、 5000人の実例経験から必要な情報だけを厳選したカリキュラムを全3回の講座として実施していきます。
「新しい働き方入門〜理想の人生・働き方を言語化〜」「未経験でもできる売れる商品の作り方」「今日から実践できる仕事の獲得方法」の3テーマを通じて、起業・複業の実現をサポートしていく予定です。 さらに受講生同士の新たなネットワーク構築を行うことで、起業・複業に挑戦しやすい環境・コミュニティの醸成を進めていきます。


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◾️プロジェクト概要
佐賀県(産業労働部 産業DX・スタートアップ推進グループ)

プロジェクト期間:
・2023年11月〜2024年2月末予定

体制:
・佐賀県(産業労働部 産業DX・スタートアップ推進グループ)
・株式会社トレジャーフット
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テクノロジーとビジネスの未来をデザインする佐賀県産業DX・スタートアップ推進グループ

佐賀県産業DX・スタートアップ推進グループは、「テクノロジーとビジネスの未来をデザインする」をミッションに、佐賀県をイノベーションにチャレンジできる地域へと推し進める取り組みをしています。

具体的には、IT活用を行いビジネスの拡大を目指す県内の企業に対し、ビジネスマッチングをはじめとした企業のデジタル化の推進を実施しています。

九州では、長崎県が世界中からのデジタルノマドを対象としたプログラム「Colive Nagasaki Digital Nomad Retreat」を支援したり、福岡県が九州工業大学と企業の連携で半導体研究とAI人材の育成に注力したりと多様な取り組みが行われています。そういった中、地域人材に着目し、非IT人材のデジタルスキル習得から起業・複業まで、一気通貫で支援する独自事業を展開する佐賀県の取り組みは特徴的で珍しいものになっています。

2020年には、プログラミングを習得するための 「SAGA Smart Samurai」を、2022年には、ノーコードツールを活用した社内DXリーダーを育成する「SAGA Smart Ninja」を開始し、これまで累計約700人の受講生が誕生しました。

Smart Terakoyaを通じて、佐賀県内におけるIT・DX人材のコミュニティ形成を加速させるとともに、企業と県内IT人材とのマッチング、そしてIT人材の起業・複業支援を行うことで、スキルの地産地消を目指しています。

SAGA Smart Terakoyaで描き出す自分の未来

SAGA Smart Terakoyaは全3回にわたって開催します。一番の目的は、参加したメンバーが「起業・複業」などの新しい働き方を実現することです。中でも、第1回目の本講座では、起業・複業の実現に向けて「自分の未来への考え方と進むべき方向が見え始めること」をゴールに定め、リスキリングの基本的な考え方や自分が大切にしたい価値観の言語化、自分の現在地の理解、1年後に向けた目標設定と具体的なアクションプランの策定を行いました。

また、弊社では従来の「講師」が知識を提供し、「受講生」が知識を受け取るという関係性ではなく、「共創型スクール」を掲げています。講座内で学んで終わりではなく、学んだ内容を自分の力に変えるためには、反復練習や他者からのフィードバックが必要です。特に起業・複業に挑戦するためには、助け合う「仲間」の存在が大切だと考えています。

そこでSAGA Smart Terakoyaでは、受講生同士のフィードバックを取り入れたグループワークや、講座終了後の「復習会」、さらには、複業実践者のリアルな声を聞く「複業座談会」など、コミュニティマネージャーを中心に「学びの深堀」と「繋がりの拡大」にも力を入れています。

②コンテンツ:学ぶ・働く・引退するといった典型的なキャリアから、「人生100年時代」に

私たちは、自分自身のこれからの働き方・仕事のあり方を、自分主導で自由に設計ができるようになりました。
その中で注目が集まっているのが「複業(パラレルワーク)」です。

「複業(パラレルワーク)」は、DX・ITスキルなど専門知識や技術を活かし、メイン / サブという序列をあえてつけず、「どれも本業」という考え方で複数の仕事を並行して取り組む働き方です。収入アップはもちろん、自分のスキルを活かした自由な働き方が設計でき、更なるスキルアップ、本業ではできない経験、新しいネットワークの構築など、複業を通じて様々な効果が期待できます。

その反面、「複業」に注目が集まることで、それ自体を目的と捉えてしまい、自分自身のキャリアや強みからずれた案件に挑戦し、疲弊してしまうというケースも増えてしまっています。

そこで、今回の講座では「新い働き方入門〜理想の人生・働き方を言語化〜」というテーマのもと、「なぜ複業をしたいのか」「複業の先にどんな人生を送りたいのか」など、複業を始めるためのマインドセットを整え、1年後に向けた目標設定とアクションプランの策定を行なっていきます。

Point① 新しい働き方とリスキリング

新しい働き方を実現するために重要なことは、以下の3点です。

1)自分の現在地を把握する
2)なりたい自分を明確にすること
3)リスキリングすること

「自分の現在を把握」し、フォアキャスティング思考で積み上げる未来(図:未来1)よりも、「自分の現在地」と「なりたい自分」を明確化しそこからバックキャスティングすることでより良い未来(図:未来2)を実現することができます。

しかし、それだけではありません。「新しいことを学び、身に付けた新しいスキルを実践し、新しい働き方に挑戦する「リスキリング」により「自分の現在地」を高めることで、現在の自分では導き出せない、より高い目標・望ましい未来(図:未来3)を手にいれることができるかもしれません。

私たちは「人生・仕事・社会」といった土台のうえで活動しています。しかし、変化の激しい時代では、当たり前のように過ごしているこの土台が簡単に変化してしまうことがあります。変化に直面したときに困らないためにも、リスキリングを行うことで、新しい情報・変化をキャッチアップし、今現在の直線状にない未来も獲得できるようになります。

アンラーニングの重要性

現在の延長線にある未来「以上」の理想を得るためには、「アンラーニング」の考え方も重要です。アンラーニングの定義は「捨てる学び」です。

例えば、下記のような状況を考えてみましょう。

・組織全体に影響を与えられない
・部下がついてこない
・仕事とプライベートの両立できない
・このままではいけない、変えなくてはいけないという切迫感がある

といった問題を抱えている場合、過去の成功体験や、日常の慣例に沿っているだけの状態になっているかもしれません。自身の限界を知り、限界突破をする、そのためにはアンラーニングが効果を発揮します。

自分の限界を知るために用いられる手法は、例えば、以下のような経験にチャレンジすることが挙げられます。

・新規事業・新規提案業務
・業務上の修羅場
・越境的業務

自分の中の「当たり前」が通じない環境に身を置くことが非常に重要です。

Point② 複業・福業へのチャレンジが心の満足度を上げる

我々は、「ふくぎょう」という言葉を、以下の3つに定義付けしています。

1)副業=サイドビジネス
2)複業=パラレルキャリア
3)福業=心が満たされる仕事をすること

それぞれの言葉に特徴がありますが、一般的には「副業」では、本業のかたわら副収入を得るために行う本業以外の就労全般を指すことが多く、アフィリエイトや株・FXなどが該当します。

近年では、メイン・サブという序列をあえてつけずに、専門知識や技術を活かし、複数の仕事に取り組む「複業」が注目され、収入だけでなく、「自由な働き方」や「スキルアップ」など複合的な目的を持って取り組む方が増えています。

リクルートの「兼業・副業に関する働く個⼈の意識や実態の調査」によると、満足度の高い「ふくぎょう」は、ネットワーク充実、社会貢献、能力開発など収入以外の多様な効果を実感できる場合が該当することが多いと言われています。

さらに弊社では、「心が満たされる複業」という意味をこめた「福業」という考え方を持っています。弊社が創業以来取り組んでいる地場産業での複業は「自分、クライアント、社会、家族」の四方良しの状態を生み出すことができます。

具体例として、東京都出身・在住の女性が山梨県のとある伝統産業の案件に携わった際に、中小企業の経営を学ぶ大学生の息子とともに企業を訪問しました。すると、自分自身の経験値アップ(自分)やクライアントの課題解決(クライアント)はもちろん、大学生の息子の学びを深め(家族)、それが結果的に、若い世代の伝統産業への興味関心の引き立てや、山梨県を第二の故郷のように思い継続的な関わりに繋がる(社会)という四方良しの状態が生まれました。

Point③ 稼げるフリーランスの法則

複業や福業にチャレンジしていく中で、結果として個人に価値をつけていかなければなりません。講座の中では、実際に成功している事例も共有していきました。

弊社代表の田中が出版した書籍『稼げるフリーランスの法則』(日本経済新聞出版)では、これまでの外部人材マッチング事業を通して、フリーランス・複業人材として活躍・成功しているパターンを一般化しました。

例えば、複業で稼げる人と稼げない人の違いは、以下のように表すことができます。

・稼げない人:労働の延長としてセールスをする人
・稼げる人:労働と切り離してスキルを商品化し、セールスできる人

時間や工数に対して価値を持たせるのではなく、自分自身のスキルを「商品化」し、企業に提案していく……。こうした視点を持つ人は、結果としてフリーランスレベルが上がり、稼げるフリーランスの仲間入りをしていきます。

Point④ 自分自身に関する言語化/ワーク

本講座の中では、新しい働き方を言語化するため、数多くのワークも実施しました。具体的には、自分をよく知るために、「人生の三大トピックス」を抽出したり、「1年後に実現したい理想の働き方」を具体化し、それを実現するために、今何をすべきなのかを明確にしました。こうしたワークは、参加者が自分自身の人生をどう豊かにするのか、考えるきっかけとなりました。

③参加者の声

本講座に参加してくださった方々にアンケートをとった結果、「いつか起業したい」また「複業をしたい」と回答した方は合わせて75%となり、非常に活気・やる気が溢れる場となりました。

SAGA Terakoya 第1回講座後アンケート(39名回答)

今回のプロジェクトマネジャーである辻は、実際に第1回講座を運営する中で、これまでの経験や大事にしたい価値観を言語化することで、起業・複業を通じて実現したい未来をより具体的に描くことができると感じています。受講生1人1人のモチベーションの高さが、グループワークの精度を高め、「学びと実践のコミュニティ」として動き始めています。

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