はじめての「外部人材活用」 自社採用の違いと任せやすいテーマとは?

「外部人材を活用したほうがいい」

ここ数年、そんな言葉を耳にする機会が増えました。一方で、地方を含む中小企業の皆さまとお話ししていると、次のような声もよく伺います。

・そもそも外部人材とは、どんな人たちなのか?
・自社での正社員採用と何が違うのか?
・自社の予算規模や体制でも、本当に依頼できるのか?

イメージはあるものの、具体的な姿が見えないままだと、「気にはなっているけれど、一歩目が踏み出せない」状態になりやすいのではないでしょうか。
私たちトレジャーフットは、地域や現場に寄りそいながら、様々な職種のプロフェッショナルである外部人材と企業のみなさまが共走するプロジェクトを数多くご一緒してきました。そのなかで見えてきたのは、「外部人材が力を発揮しやすいテーマ」と「社内で進めたほうがよいテーマ」が確かに存在する、ということです。
この「はじめての外部人材活用」では、これから外部人材活用を検討したい企業の方に向けて、準備からテーマ設計、人選、立ち上げ、社内への定着までのステップを、整理してお届けしていきます。
初回となる今回は、そもそも外部人材とは何者なのか、自社採用との違いはどこにあるのか、そして外部人材に任せやすいテーマ/任せにくいテーマについて、具体例を交えながらお伝えします。

そもそも「外部人材」とは?

ひとことで「外部人材」といっても、実際にはさまざまな呼び方があることはご存知でしょうか。
 「フリーランス・副業人材・業務委託・プロ人材」など 肩書きや契約形態は違っていても、共通しているのは、 「特定のスキルや経験をもった“社外のプロフェッショナル”であること」です。
 例えば、「EC事業を立ち上げてきたマーケター」「DX・業務改善プロジェクトのプロジェクトマネージャー」「人事制度や採用戦略をつくってきた人事領域の専門家」です。
こうした人材が、「自社の正社員として雇用される」のではなく、 プロジェクト単位・テーマ単位で社外から関わるイメージが「外部人材活用」と言えます。

「社外のプロ」と「社内メンバー」がそれぞれ担う役割

外部人材活用は、「プロに全部お任せする」方法ではありません。
むしろ、社内の人材と役割を分けた上で「プロジェクトを共走していく」のが、外部人材活用です。

では、外部人材と社内人材では、どのような役割の違いがあるのでしょうか?
トレジャーフットでは、以下のように考えています。

・外部人材:経験・ノウハウ・進め方の型を持ち込み、プロジェクトを前に進める役割
・社内人材:自社の事情・文化・現場の声を踏まえ、意思決定や実行の主体になる役割

外部人材だけでは自社のリアルは分かりません。また、社内メンバーだけでは見えにくい景色もあります。
両方の視点を組み合わせることで、 「現場に合った変化を、無理なく進めていく」ための選択肢を増やすことが可能になります。

自社採用との違い 外部人材がフィットしやすい場面とは?

ここからは、自社採用と外部人材活用の向き・不向きについて解説していきます。

まず、自社採用が向いているのはどのような場面でしょうか。
 典型的なもので言うと「日々のオペレーションを長く安定して回していく」「コアとなる事業の中核となるポジションを育てていく」「組織文化や価値観を共有しながら、じっくり戦力化していく」 といった、“守りの土台づくり”が中心の領域です。
 例えば、コールセンターの常勤オペレーターや、 工場の現場責任者など、 「長期前提で腰を据えてもらいたい役割」には、自社採用が基本になります。

一方で外部人材が力を発揮しやすい場面としては「新しく取り組みたいテーマがあり、社内に経験者がいない」「既存のやり方を見直したいが、どこから手をつければよいか分からない」「一時的に専門家の知識や経験を借りて、プロジェクトを立ち上げから仕組み化まで一気に進めたい」といったものが挙げられます。
具体的なプロジェクトとしては「DX・業務効率化プロジェクトの設計と推進」や「EC事業の立ち上げや、売上改善の打ち手設計」「人事制度や評価制度のリニューアル、新しい採用チャネルの設計」などが考えられます。
 こういった「立ち上げ」「変革」「新しい挑戦」の場面では、 社内だけでゼロから試行錯誤するよりも、 経験のある外部人材と共走したほうが、短期間で質の高い打ち手を生みやすい傾向があります。

よくある勘違いに注意!外部人材は「なんでも丸投げできる人」ではない

ここで、よくある誤解にも触れておきましょう。
外部人材は、「なんでも丸投げして、気づいたら全部やっておいてくれる人」ではありません。

・自社の現場に合うように調整する
・社内メンバーや関係者とコミュニケーションを取る
・実際の運用を続ける

 これらは、最終的には社内の役割であると意識することが必要です。
外部人材が担うのは、あくまでも「進め方や考え方の“型”を提示する」「決めるべきこと・やるべきことを整理する」「要所で伴走し、意思決定をサポートする」 といった、「変化を前に進めるための土台づくりと推進役」です。

もちろん、プロジェクトによっては外部人材の力を借りて、実際の運用を行うケースもあります。例えばSNS運用や、ECサイト立ち上げ期のサイト運用等が挙げられます。
ただし、これらのプロジェクトでも最終的には、自社で運用することを前提にした社内の人材調整が必要になります。

どんな願いも叶えてくれる万能の魔法使いは、おとぎ話の中の存在です。
同じように「何でも丸投げして依頼ができる外部人材はいない」ということを大前提として共有しておくことがミスマッチを防ぐポイントになるのです。

外部人材に任せやすいプロジェクトテーマとは?

では、実際に外部人材活用を行うにあたって、どんなテーマの相談を行うと良いのでしょうか?ここでは、外部人材に任せやすいプロジェクトテーマについて解説します。

①DX・業務効率化まわりのプロジェクト

外部人材に任せやすいテーマの代表例が、DX・業務効率化関連のプロジェクトです。

「紙やExcelで行っている業務を、システムに置き換えたい」
「部門ごとにバラバラなフローを整理して、標準化したい」
「kintoneやクラウドツールを入れたものの、使いこなせていない」

 こうしたテーマは 「現状の棚卸し → 課題の見える化 → 改善案の設計 → 実装支援」という流れで進める必要があります。
このプロセスを過去に何度も経験している外部人材であれば、具体的な知見や失敗ポイントも含めたアドバイスを得ることが可能です。
 社内メンバーだけで試行錯誤するよりも、 “遠回りしない道筋”を一緒に描くことができるのが大きなメリットと言えるでしょう。

②EC・マーケティング・広報など、ノウハウを“持ち込む”テーマ

これらの領域も、外部人材活用と相性がよいテーマです。

「自社ECサイトを立ち上げたい・改善したい」
「SNSやオウンドメディアを活用した情報発信を行いたい」
「広報・PRの戦略づくりや、プレスリリースの型づくりを行いたい」

こうした領域は、 「やったことがあるかどうか」で、スタート地点が大きく変わります。
他社での経験をもつ外部人材は、「やらなくていいこと」を早めに見極め、「まずこの順番で進めましょう」と優先順位を整理し、社内メンバーが自走しやすいように型を残す、といった形でノウハウを“持ち込む”役割を果たすことが可能です。

ノウハウを蓄積することで、課題解決へ一歩進むことができるテーマと言えますね。

③新規事業・サービス立ち上げなど、試行錯誤が前提のテーマ

最後に、新規事業や新サービスの立ち上げも、典型的な外部人材活用のテーマです。

「アイデアはあるが、事業計画に落とし込めていない」
「まずは小さく検証したいが、進め方がわからない」
「やりたいことはあるものの、上手く形に出来ない」

こうしたケースでは、 仮説検証・マーケットリサーチ・事業計画策定など短期間で多くの意思決定が求められます。
新規事業の経験がある外部人材と共走することで、「まず3か月でここまで到達しよう」というマイルストーンを描き、リスクや落とし穴を事前に洗い出し、“やりっぱなし”ではない立ち上げがしやすくなるのです。

外部人材に任せづらいプロジェクトテーマとは?

今度は逆に「外部人材に任せづらい」テーマについて考えてみましょう。

①社内の意思決定が固まっていない状態のテーマ

外部人材にとっていちばん難しいのは、「何を目指すのか」が社内で決まっていない状態です。そもそも取り組むべきかどうかが決まっていなかったり、関係者ごとに期待していることがバラバラだったりすると、どれだけ提案しても前に進みにくくなります。
少なくとも「何を変えたいのか」「誰が最終的に決めるのか」だけでも仮置きしておくと、プロジェクトが進めやすくなります。

②日々のオペレーションを「人手」として埋めたいだけのテーマ

外部人材は、あくまで「プロジェクト単位で価値を出す存在」です。
ルーティン業務をひたすら処理してほしい、既存メンバーの人手不足をとにかく埋めたい、といったニーズには必ずしもフィットしません。
この場合は、派遣社員やアルバイト・パート採用、BPO(業務委託)としてのオペレーション外注など、別の選択肢を検討したほうがよいと言えます。

自社らしい外部人材活用の一歩目は、3つの視点を抑えたい!

最後に、初めて外部人材活用を検討するときにおすすめしたいポイントを3点ご紹介します。
1つ目は、「外部人材を活用して、何を変えたいのか?」を一言で言えるようにしておくことです。
「工場の残業時間を減らしたい」「ECの売上を伸ばしたい」など、一言で言語化できているだけでも、相談の場で話がスムーズになります。
2つ目は、期間と予算の目安をざっくりとでも決めておくことです。
「まずは3か月だけ立ち上げを伴走してほしい」「月◯◯万円程度までなら試したい」といったイメージがあるだけでも、具体的な提案を受けやすくなります。
3つ目は、「誰が窓口になるのか」を決めておくことです。
日々のやり取りを担う人、定例ミーティングに参加する人、最終的に決める人をあらかじめ整理しておくと、プロジェクトは格段に進めやすくなります。

外部人材は、自社採用だけでは補いきれない「立ち上げ」「変革」「不足スキルの補完」を支える存在であり、日々の人手不足を埋める要員ではなく「変化を前に進めるパートナー」として位置づけることが大切だと考えています。
Treasurefootでは「自社のケースだと、どんなテーマから始めるのが良さそうか?」といった段階からご相談をお受けしています。自社での一歩目のイメージを具体化したいと感じていただけましたら、30分ほどのオンライン相談という形で、お話を伺うことも可能です。

自社らしい外部人材活用のかたちを、私たちと一緒に考えていきましょう!
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