2024年10月4日、渋谷のSHIBUYA QWSにて、新潟県妙高市の豊かな地域資源を活用し、地元と世界をつなぐ取り組みをテーマにしたイベントが開催されました。ゲストスピーカーとして登壇したのは、株式会社Wow Myoko代表取締役の岡田麻梨亜(おかだ・まりあ)さん。岡田さんは、妙高市の地域活性化に向けた取り組みや、自身のグローバルな視点を融合させた新しいビジネス展開について語りました。
司会進行を務めたのは、コミュニティビルダーとしても知られる株式会社はじまり日和の柴田大輔(しばた・だいすけ)さん。岡田さんの妙高市での経験や、地域と世界を結びつける独自のアプローチが紹介され、参加者たちは未来の可能性を共に探る貴重な時間を過ごしました。
観光と移住、ふるさと納税で広がる未来
妙高市は、日本有数の豪雪地帯として知られ、冬のスキーリゾートや温泉観光が特に人気を集めています。市内には8つのスキー場が点在し、国立公園をはじめとする豊かな自然に囲まれ、四季を通じて楽しめる観光地として国内外から注目されています。
イベントでは、観光業を中心とした地域活性化の取り組みが紹介され、訪れる人々と地元住民の双方にメリットをもたらす施策が進行中であることが示されました。具体的には、冬季のスキーリゾートや温泉だけでなく、春夏秋の豊かな自然を活かし、通年楽しめる観光地としての価値を高めるとともに、新たな居住環境の整備も進んでいます。
近年、テレワーク施設の整備も進み、都市部からの移住者やリモートワーカーが快適に働ける環境が整えられつつあります。自然豊かな環境で、働きながらリラックスできる妙高市は、都市生活者にとって大きな魅力となっており、移住を検討する人々にも理想的な選択肢として注目されています。
さらに、妙高市はふるさと納税を通じて地域の活性化にも注力しています。特産品には、妙高市の豊かな自然で育まれた缶入り調味料や地酒、宿泊券などがあり、特に人気を集めています。これらの特産品は、妙高市の自然環境や文化を反映したもので、その品質の高さが全国的に評価されています。
妙高市は、観光業やふるさと納税といった多角的な取り組みを通じて、訪れる人々にも住む人々にも魅力的な街づくりを進めています。
「妙高をみんなの実家に」地域と世界をつなぐ挑戦
岡田さんは、妙高市杉野沢で育ち、インドやフィリピンへの留学を通じてグローバルな視点を身につけました。異文化での生活に触れることで視野が広がり、多様な文化や価値観を理解する力が育まれ、これが現在の活動の基盤になってたようです。2017年に妙高に戻った岡田さんは、ロッテアライリゾートでインバウンド観光のマーケティングを担当し、地域の魅力を世界に発信する役割を担いました。その後、育児休暇中に「株式会社Wow Myoko」を設立し、実家である茅葺き屋根の旅館「山海華旅館 はるみ荘」の継承にも取り組んでいます。
岡田さんが「妙高をみんなの実家にしたい」と考える背景には、彼女自身の原体験が深く関係しています。幼少期から茅葺き屋根の「はるみ荘」で、多くの人々と触れ合い、地域の伝統や温かな交流を育んできた経験が、彼女にとっての「実家」の象徴であり、絆の源でした。この空間を、多くの人にとって「帰れる家」として感じてもらいたいと考えたのです。
加えて、都市部で「実家がなくなった」という声が多いことを受け、彼女は「はるみ荘」を訪れるすべての人が帰ってこられる「みんなの実家」にしたいと願うようになりました。岡田さんは妙高市を単なる観光地としてではなく、里山文化を活かした「ふるさと」のように感じてもらう場にすることを目指し、地域と訪問者が自然と交われる場を作りたいと考えています。彼女の活動には、妙高を愛するすべての人にとって心から帰れる場所を未来に残していきたいという願いが込められています。
「株式会社Wow Myoko」は、妙高の自然や文化を国内外に発信し、地域に根ざした魅力づくりを進めるための会社です。岡田さんは、この会社を通じて妙高市の豊かな自然環境や文化、生活様式を紹介し、地元の資源を活かしながら訪問者と地域住民との交流を促進する活動を展開しています。
妙高で広がる未来の可能性 妄想ワークショップで描く地域
イベント後半には、参加者が自由にアイデアを出し合う「妄想ワークショップ」が開催されました。テーマは「妙高で見つける自分らしさとグローバルな未来の取り組み」。ワークショップは次のステップに従って進行しました。
まず、各自が「やってみたいこと」を自由に発想し、妄想をその場でシェアします。次に、テーブル内で他の参加者のフィードバックを受けながら、妄想をさらに深めます。多様な視点が加わることで、各自の妄想はより具体的で実現可能なプランへと発展していきます。
最終的に、各テーブルでまとめられた妄想が全体で共有され、妙高市の自然や文化を活かした観光プランや、地域の特産品を活用したビジネスアイデアが次々に発表されました。
例えば、「健康とウェルビーイング」をテーマにした宿泊ツアーが提案され、温泉、自然、地域の食材を活かした癒しのプランが関心を集めました。「自給自足体験」や都会との連携を図るプログラム、「森の病院」として森林を活用した癒しの場、米粉を使った地域振興策など、地域資源を最大限に活用した具体的なプランも登場しました。
さらに、妙高公園を舞台にしたユニークなマッチングイベントのアイデアも発表されました。これは、外国から若い男性を招待し、地域の女性やお年寄りとの交流を通じて地域コミュニティを活性化させ、同時に若者の労働力確保を目指すというものです。
このように、地域と外部人材を結びつける新たな形のグローバルな交流も議論されました。
妙高市の未来を描く—地域と世界をつなぐ新たな挑戦
今回のMYOKO MEETUPでは、地域への深い愛情とグローバルな視点を融合させた岡田さんの取り組みが紹介され、妙高市の未来について熱い議論が交わされました。特に「妙高をみんなの実家にしたい」というビジョンは、地域と世界をつなぐ新たな挑戦のヒントとなりました。
イベント後半には妄想ワークショップが行われ、参加者たちは自由にアイデアを出し合いながら、妙高市の未来を共に描きました。豊かな自然や伝統文化を活かしたアイデアが飛び交い、地域資源を生かしたグローバルな取り組みがさらに発展する可能性が示されました。