はじめに
2024年9月20日、佐賀県が主催する「SAGA Smart Terakoya」シリーズの第3回イベント「仕事を引き寄せるセルフブランディング」が開催されました。
本セミナーは、フリーランスや複業において、自己のブランディングを通じて新しい仕事を獲得する方法を学ぶことを目的としています。講師は、株式会社トレジャーフッドの取締役であり、コミュニティマネージャーとしても活躍する辻 麻梨菜 氏が務めました。
第一部:セルフブランディングとは何か?
企業や複業を成功させるには、信頼と信用を築くことが重要で、そのためにセルフブランディングは欠かせません。
セルフブランディングとは、単なる自己紹介ではなく、自分自身を「商品」として、どのように市場に伝え、評価されるかを計画的に作り上げていくプロセスです。特に、個人事業主やフリーランスにとっては、会社の看板に頼ることができないため、自分の名前そのものが「ブランド」となり、それが直接仕事につながります。だからこそ、セルフブランディングの重要性はさらに増します。
ブランドを構築するには時間が必要です。
独立や複業を始める少なくとも1年前から計画的にセルフブランディングを進めるのが理想的です。これは、仕事を得るために、他者から信頼される存在として認識される必要があるからです。セルフブランディングは、時間をかけて信用を積み重ね、徐々に周囲に影響力を持つようになる、と辻氏は強調しました。
マーケティングとブランディングの違いについても解説しています。
マーケティングは「自分の商品やサービスを積極的に売り込む活動」で、広告やセールスを通じて売上を伸ばすことを目的としています。一方、ブランディングは「自分や商品・サービスの価値を正しく伝え、相手に理解してもらうこと」を目指しており、成功すれば「〇〇さんに任せれば安心」「〇〇の商品なら信頼できる」と自然に選ばれるようになります。
つまり、マーケティングは積極的に働きかけるアプローチであり、ブランディングは価値を認識させるプロセスです。マーケティングとブランディングを組み合わせることで、より多くのビジネスチャンスが生まれるようになります。
ワークショップでは、参加者が自分のセルフブランディングを具体的に設計するためのステップを実践しました。
1. ロールモデルを見つける
参加者には「二歩先を行く身近なロールモデル」を見つけることが提案されました。有名なインフルエンサーではなく、「私でもできそう」「親身に話してくれそう」と感じる身近な人物が理想的です。
ロールモデルは1人ではなく複数人から学び、それぞれの良い部分を取り入れ、自分らしさを加えていくことが重要です。TTP(徹底的にパクる)を活用し、成功例を参考にしながら、自分独自のセルフブランディングを作り上げていく方法が推奨されました。
2. 設計シートの作成
提供する商品やスキル、キーワードやハッシュタグ、世界観やテーマカラーを考案し、一貫性のあるブランド設計を行いました。
3. 見た目の一貫性
見た目の一貫性が強調され、参加者は自分のテーマカラーを決め、視覚的にどのように印象づけるかを考えました。
4. 共有とフィードバック
参加者同士で設計シートを共有し、フィードバックを通じてブランド設計をさらに磨きました。
第二部:仕事を引き寄せる情報発信
このセッションでは、SNSを使った効果的な情報発信の方法が紹介されました。
SNSとは、インターネット上で情報を共有し、人々と繋がるためのツールです。適切に使うことで自然にビジネスチャンスを引き寄せる強力な手段となります。特に大切なのは、発信内容の「一貫性」。自分の強みや専門性をはっきりさせ、ブレずに発信し続けることで、フォロワーから信頼され、それが仕事の依頼につながる可能性が高くなります。
また、信頼性を高めるために、SNSでの発信は「実名」が推奨されました。もし実名での発信に抵抗がある場合は、ビジネス用のアカウントを作り、プライベートとは分けて情報を発信するのが有効です。
ワークショップでは、SNSでの情報発信を効果的に行うために、投稿内容を「実績」「豆知識」「多面性」の3つに分類し、それぞれをどのように発信するかを参加者は考えました。
・実績:過去の成果や顧客からのフィードバックをシェアし、自分の信頼性や実力を示します。
・豆知識: 自分にとって当たり前のことでも、他者にとっては有益な情報を発信します。例えば、YouTubeやYahoo知恵袋で人々の悩みを調べ、それを基に投稿することで、フォロワーに「役立つ情報が得られる」と感じてもらえます。
・多面性:ビジネス以外の自分の人柄やライフスタイルを発信することで、フォロワーに親しみやすさを伝えます。まだ実績が少ない場合でも、今取り組んでいるプロセスや努力を共有することで、共感を呼ぶことができます。
このワークショップを通じて、参加者は3つの要素を組み合わせ、発信内容を多角的に広げる手法を学びました。
第三部:SNSを伸ばすために
このセッションでは、SNSの各プラットフォームの特性を理解し、それぞれに適した使い方が紹介されました。
たとえば、Facebookは長文のビジネス発信に適しており、Instagramは写真や動画などのビジュアルコンテンツが得意です。X(旧Twitter)は短文で迅速に情報を発信するのに優れています。SNSを有効に活用するためには、ただ情報を発信するだけでなく、フォロワーにとって価値のあるコンテンツを提供することが鍵となります。
たとえば、仕事で得た知識や、業務で直面した課題、その解決策をシェアすることで、フォロワーから信頼を得ることができます。
インフルエンサーを目指す必要はなく、特定のコミュニティや業界で信頼されることが重要です。継続的に有益な情報を発信し、信頼を積み重ねることで、自然に仕事の依頼が増え、SNSがビジネスツールとして最大限に活用できると辻氏は説明しました。
また、セッション中には参加者が実際にSNSに投稿する実践も行われ、会場は大いに盛り上がりました。名刺交換に加え、Facebookで友達申請を積極的に行い、オンラインでも関係を深めることを勧めています。
参加者が投稿を通じて理論だけでなく実践を経験し、フォロワーとの信頼を深めていくことが、SNSをビジネスに活かすための第一歩であると締めくくられました。